銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
厳しいタイトルにしちゃいましたけど、事実です
がん患者さんの在宅医療については、以前書きました
先日、こんな患者さんがいました
希少がんの高齢の女性
大病院で治療していたが、使える抗がん剤が無くなり、在宅医療に移行しました
大量腹水と食欲低下、歩行困難、低アルブミン血症などがあり、病院主治医からは余命2-3か月として自宅で緩和ケアを行って欲しいという紹介状だったようです
何かやれることはないかと、当院受診し腹腔内抗がん剤+遺伝子治療を行いました
すると、大量腹水が消失したおかげで、食欲も出てきて歩けるようにもなりました
(余命を過ぎて)3か月ほど経った時に、食事が進まず吐くようになり、歩行もおぼつかなくなってきました
在宅医は、がんが進行していて、そろそろ(亡くなる時期がきた)だろうという説明を家族にしました
家族としては、あれから腹水もたまらず、腫瘍マーカーも下がっていたのに、がんのせいではないのでは?と納得がいきません
で、当院で血液検査をしてみると、なんと低カリウム血症+腎不全になっていました、、、
こんなに良くなっていたのに、何でいきなり腎不全になっているのだろう???
お薬手帳や家族と本人からのヒアリングから、大量の利尿剤が原因と考えました
大量の利尿剤が処方されていた原因として
①病院を退院した時点で大量の腹水がたまっていたので、がっつり利尿剤が処方されていました
②患者さんが「足の浮腫みが気になる」と言った時に、在宅医から利尿剤が追加された、しかも結構な量
ということが分かりました
腹水が消失したことは、当院の指示で撮ったMRIで分かっていましたし、在宅医にも伝わっています
それなのに、前医の右ならえで利尿剤が継続されていました(もう不要なはずですよね?)
さらに、ちょっとだけあった足の浮腫みに対して、浮腫み=利尿剤という短絡的な思考で(←失礼な言い方してますが、ホントそんな感じ)利尿剤を追加しています
結果として、高齢者に対して大量の利尿剤を処方することになり、それによる腎不全・低カリウム血症で調子が悪くなったのだと思います
<低カリウム血症の症状>
・足のまひ、歩行困難
・多尿や排尿困難、便秘、腸閉塞
・不整脈
当てはまっているじゃないですか、、、一歩間違えば不整脈から心停止になってもおかしくなかった、、、
そのことをご家族が在宅医に訴えると、
(利尿剤は浮腫みに対して)患者本人が希望されたから処方した
とのたまったそうです、、、
腹水がなくなってまず利尿剤を減らす
月に1回くらいは血液検査を行う
ができていれば、今回のイベントは防げたかもしれません
ちなみに、在宅初回以来3か月間、血液検査はされていませんでした、、、
家族から言われて、今では週に1回血液検査を行って、点滴などを調整してくれているようです
本当にこれはあるあるなのですが、あとは在宅緩和でと紹介された場合、痛みのコントロールと点滴くらいして、看取ればいいやと考えている在宅医がいます
末期がん患者の在宅医療に加算が付いているので、末期がん患者の診察は経営上かなりプラスになります
それゆえ、末期がん患者さんは看取ればいいだけだから楽に儲かる と考えている在宅医は結構いて、がん治療・緩和ケアのことに詳しくなくても、末期がんを診たがります
ちゃんと緩和ケアを勉強し、終末期を自宅でいかに過ごさせるかが、在宅医の腕の見せ所だと思うんですよね、、、
やりがいを感じないのかしら??
一応フォローしときますけど、素晴らしい在宅医の先生もたくさんいらっしゃいますよ!
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