銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
以前のブログにコメントをいただきました
多くの人にとっては、副腎って何ぞや?
という感じだと思います
肺がん(特に小細胞肺がん)や腎がんだと、よく副腎転移が見られるので、なじみがあるかもしれません
まずは、副腎の場所と機能についてはこちらを参照に
こんな小さな副腎でも、人間が生きていくために必要なホルモンを産生しているんです
しかも、皮質と髄質で別々のホルモンを産生するという、、、
話を戻します
副腎にできる腫瘍は、
・腫瘍の大元が副腎皮質からか副腎髄質からか
・良性腫瘍か悪性腫瘍(がん)か
・腫瘍がホルモンを産生しているか否か
で分かれますが、いずれにせよほとんどの場合、手術による切除治療が必要です
質問者の副腎皮質がんも、手術による切除治療が基本です
ただ、転移が複数あって完全切除できない場合には、化学療法となります
日本で承認されている薬剤は
ミトタン
のみとなっています
このミトタンは、かわいらしい名前をしていますが、もともと有機塩素系の農薬に使われていたDDTの異性体で、副腎毒とも言われます
副腎皮質細胞のミトコンドリアを傷害するので、副腎がんにだけ有効な薬剤です
ただ、奏効率は13-31%と低く、ミトタン単独で根治することはほぼないようです
(手術切除後の補助療法として、ミトタンを使用して長期生存したという報告はあります)
ミトタンを使用すると、8割以上の患者さんで副作用が起こるようで、副作用も大変そうです
ミトタン以外、抗がん剤治療としては
EDP療法(エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチン)
があり、ミトタンとの併用で用いられます
副腎皮質がんの治療は
①手術→術後ミトタン
②手術不可の場合は、ミトタン+EDP療法
③再発病変に対して再手術
しか今のところありません
海外での臨床試験を調べてみると
・キイトルーダ
・オプジーボ
・カボメディクス(マルチキナーゼ阻害薬)
・リンシチニブ(IGF-1R阻害薬)
・ジェブタナ(抗がん剤)
などがありましたが、いずれもイマイチな成績でした
唯一、高濃度ステロイド投与(ホルモン非産生の場合)が有効だったとする報告はありました
個人的には、遺伝子パネル検査を行えば、何かしら適合する薬剤が見つかる可能性はあると思います
日本では、副腎がん単独での治験は無く、パネル検査でPD-L1、Her2やBRAF、NTRKなど臓器横断型の治療薬とマッチすれば使える可能性はあります
あと、副腎皮質がんではp53変異が見られるようなので、当院で行っているような遺伝子治療ももしかすると有効なのかもしれません
p53の治療に関してはこちらを参照
もしくは、オンコノミクスプラス検査で、合う抗がん剤や分子標的薬、サプリメントなどを調べてみるのもアリだと思います
いずれにせよ、症例が少なすぎて、ミトタン以外の治療法は手探りな感じです
希少がんでは保険適応となりますので、まずは遺伝子パネル検査を行うのが良いと思います
★「銀座みやこクリニック」では、がんの専門家がじっくり答えるセカンド・オピニオンを受け付けております★
お申込みはお電話かお問い合わせフォームから