銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です

 

 

こちらの続きです

 

 

父が肺がんで、がん専門病院で抗がん剤治療を受けています。また抗がん剤が効かなくなったみたいで、次のに変更したのですが、効いている感じがしません。状態が悪くなっていっているような…。例えば家の中でトイレ移動の後とか苦しそうにしています。「主治医の先生に話してみたら?」と尋ねると、「大丈夫だ」と言うんです。指で酸素を測ったら80台でした。何もしていな時は95%くらいあるので、一応様子を見ています。それと、毎晩37から38℃くらいの熱が出て、ちょっとダルそうなんですが、それも「主治医の先生に話したら?」と言っても、「こんな熱ぐらいで」と返されてしまって…。

いつも母が病院に付き添っていて、主治医の先生に質問しているみたいなのですが、本人がその場でも「大丈夫だ、大丈夫だ」と言うもんだから、主治医の先生も何もしてくれないみたいで…。

熱が出だしてから、食欲も落ちてきて痩せてきているし、食べるのもきついのかな。家族から見ると、全然大丈夫じゃなさそうなんですけど…。

 

<問題点>

主治医の言うことには一切疑問も持たずに従う

主治医を困らせない?ように我慢している感じがする

 

<ご家族からのご相談>

①免疫療法を行うと元気になりますか?

②熱の原因は何でしょう?

③呼吸が苦しいのはどうしたら良いでしょうか?

④食欲がないのは苦しいからでしょうか?

 

 

私からどのようなお話をしたか

 

①免疫療法を行うと元気になりますか?

 

元気になる人はいますし、お父様は抗がん剤が効いていないようなので、併用するもアリだと思います。ただ、これまでの話を伺っていると、主治医に言えそうもないし、主治医に断られ場合に内緒ですることはできなさそうなので、免疫療法は難しいかなと感じています。

 

ご家族から

実は、母も抗がん剤が効いていないよう感じていて、一度主治医の先生に「免疫療法というのはどうでしょう…?」と尋ねたらしいのです。そうしたら、「そういうのをするなら、もう診れない」と言われたようです。それで父から「余計なことを言うな」と怒られたと言っていました。それ以降、母も主治医の先生に何も言えなくなって…

 

 

まあ、患者さんの頑固さからして、当院に来られることは100%無いでしょうから、ご家族はこのまま見て行くしかないと思います

 

ただ、主治医の先生とのコミュニケーションの取り方は教えてあげました

 

頑固オヤジが実践してくれるかどうかは別ですが…

 

 

②熱の原因は何でしょう?

 

1日1回夕方くらいに熱が出るのが続いていて、解熱している時は比較的元気で、感染症の兆候もなさそうなので、腫瘍熱だと思います。熱が出ている時に内服しているのがカロナール200㎎の頓服ということですが、それだと少なすぎます。お父様の体重55kgくらいだと考えると、最低でもカロナール500㎎は必要です。一度に1000㎎内服しても構いません。それより、ナイキサンと言う腫瘍熱によく効く薬剤があるので、主治医に出してもらえるか尋ねてみてください。

 

【腫瘍熱の判断基準】

  • 1日1回以上、37.8℃以上の発熱がある。
  • 発熱が2週間以上続く。
  • 感染症の疑いがない。
  • アレルギー反応ではない。
  • 少なくとも7日間の抗菌薬治療で平熱に戻らない。
  • 非ステロイド性抗炎症薬の服用ですみやかに平熱に戻り、服用中は平熱が保たれる。

 

 

③呼吸が苦しいのはどうしたら良いでしょうか?

 

在宅酸素を導入してみるのはいかがでしょう。がん専門病院の先生は、そういった手続きを全然してくれないので、近所のかかりつけなどでやってもらうしかないのですが…。すぐにできることとして、大型スーパーやドラッグストアで携帯用の小さな酸素を購入して、トイレの後など息切れするときに吸ってもらうと楽になると思います。お父様の世代の人は、鼻にチューブを付けて酸素ボンベを持ち歩くのを嫌がるのですが、”酸素を吸うと楽”ということが分かれば、やってくれる人が多いです。

 

 

④食欲がないのは苦しいからでしょうか?

 

悪液質という状態かもしれません

 

悪液質については下記を参照

 

 

 

それも良い薬があるので、こちらはがん専門病院でも出してくれるので、主治医に尋ねてみてください。緩和ケア科を紹介され、そこで調整してくれるかもしれません。肺がんは適応になっていますから、保険で処方してもらえます。

 

 

 

後日談があり、ご家族の方が電話で経過を報告してくれました


近所の開業医でナイキサンを処方してもらったら、すっと熱が下がりました。そのせいか、少しずつ食欲も戻ってきています。あの後、酸素を買って行って吸ってもらったら、かなり楽になったらしく、今、開業医の先生のところで在宅酸素(HOT)の手続きをしています。抗がん剤はやっぱり効いていなかったようで、主治医から「最後の抗がん剤はほとんど効かないと思う。何もせずに緩和という選択肢もある」と言われ、父はものすごくショックだったようです。その場では決めきれずに帰ってきて、どうすれば良いのか週末に家族で話し合う予定です。

 

 

最後は、自分の意思で決めて欲しいかな… 自分の人生なので

 

 

 

 

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