銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
「がん組織の中に細菌が住んでいて、がん細胞を助ける」という衝撃的なニュースがありました
実は昔からちょっとだけ話題となっていて、昨年立て続けに論文発表があり、再注目されています
~本文中より~
2022年11月に学術誌「ネイチャー」に発表された研究により、口腔がんと大腸がんの中に生息している細菌は、人間の免疫反応を抑制し、がん細胞がより速やかに広がるのを助けることによって、がんの進行を直接促していることが示された。また、同じく2022年11月に学術誌「Cell Reports」に掲載された研究では、5-フルオロウラシルなどの一部の抗がん剤が有効なのは、腫瘍が大きくなるのを助ける細菌も殺すためである可能性が示されている。
フソバクテリウム・ヌクレアタムという口内細菌は、多くの消化器がんで頻繁に見られ、がんの経過の悪さや治療の失敗と関連づけられている。また、研究により、腸内細菌のバランスの乱れが消化器がんを誘発する可能性も示唆されている。逆に、患者の腸内に特定の細菌が存在していると、免疫療法が成功しやすくなることも明らかになっている。
これらの発見に続き、ブルマン氏はフソバクテリウム・ヌクレアタムなどの細菌が、最初にできた大腸のがん細胞だけでなく転移した先のがん細胞にもいることを発見し、2017年に「サイエンス」に論文を発表している。
最近、歯周病治療を行うことで、大腸がんの発生や転移に関わると考えられている腸内のフソバクテリウム・ヌクレアタムが減少するという発表が、横浜市大からありました
歯周病の治療が、大腸がんの予防につながる可能性があります
まあ、腫瘍内細菌という話を主治医に話しても、
99%信じてもらえない
と思います
腫瘍内は無菌であるという固定概念を崩せないので
あり得ない
と一蹴されるでしょう
顕微鏡でがん組織を見ても細菌がうじゃうじゃいるということはないので、目に見たもの以外は信じない(見ても信じたくないものは信じない)頭ガチガチの保険診療医たちには、理解できないと思います
腫瘍組織を顕微鏡でのぞいても細菌はほぼ見られませんが、PCR検査をすると、細菌の一部が検出されるそうなので、確かに存在はしているのかもしれません
あるがん自由診療グループでは、がんを調べる際に、細菌やウイルス、寄生虫をO-リングテストで調べ、抗菌薬を処方しています
ここの団体なんですけどね
オーリングテストの信ぴょう性の有無は別にして、抗菌薬や抗寄生虫薬(イベルメクチンとか?)を使うことで効いた可能性はある…かも?
こんなニュースもありました
水虫菌を駆除するから効くのか、他の作用があるのかは分かりません
昨年はこんな論文も発表されました
「腫瘍常在細胞内微生物叢は乳がんにおける転移性コロニー形成を促進する」
「望まない乗客:乳がんの転移でヒッチハイクする微生物」
乳がんの転移にも細菌が関係しているのではないか という論文です
乳がんのAC療法やEC療法で使われるアンスラサイクリン系の薬剤(アドリアシン・ドキシル・エピルビシンなど)も、元々は土壌にいる細菌由来の抗生物質ですから、関係があるのかも??
ちなみに、アンスラサイクリン系の抗がん剤は、抗がん性抗生物質とも言われています
あと、様々ながんで使われる5-FUは、50年前は抗真菌作用も研究されていました
まとまりのない話になりましたが、
・がん組織の中にわずかに細菌が存在する
・がん組織の中の細菌ががんの悪化に関わる
・抗菌薬ががん治療を左右する
可能性がある
という感じでしょうか
この分野、今後どうなっていくのか注目です
あ、上記は、主治医に言っても理解してもらえないですからね!!
★「銀座みやこクリニック」では、がんの専門家がじっくり答えるセカンド・オピニオンを受け付けております★
お申込みはお電話かお問い合わせフォームから