銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
前のブログで
マルチ遺伝子検査についてこんな図を書きました
肺がんのマルチ遺伝子検査には
①オンコマイン Dx
②Amoy Dx
上記2種類があります
実は、2種類あることでかえって面倒くさい結果になっています
マルチ遺伝子パネルそれぞれで調べられる項目が異なるんです
~LSIメディエンスHPより~
例えば、EGFR エクソン20挿入という5-6%くらい見られる変異は、オンコマインDxでは調べられず、Amoy Dxでしか調べられません
もし、はじめにオンコマインDxで検査をすると、このエクソン20挿入変異を見逃してしまう可能性がありますし、逆に、Amoy Dxを先に行うと、E709Xという変異を見逃してしまう可能性があります
どっちも全項目調べられるようにすればよかったのに…ねぇ
あと、やっかいなのは
オンコマインを行ってもMET遺伝子異常は診断できないし、Amoy DxをやってもRET遺伝子異常は診断できません
MET遺伝子異常、RET遺伝子異常があった場合のそれぞれを見てみると
はじめに、どのマルチ遺伝子検査を行うかで、運命が決まるという…何だかなぁという感じです
もっと残念な話をします
実は、AmoyDxでもRET遺伝子異常を見つけることができます
NTRKとかKRAS G12Cも見つけることができます
ただ、その保険適応にはならないので、二次検査を受けなければなりません
ちょっとややこしい話なのですが
例えば、Amoy Dxの検査結果はこんな感じで出ます
*”研究用”というのは保険適応にはなっていない項目です
なんだー、RET遺伝子異常あるじゃん
ってなりますよね
でも、抗RET薬であるレットヴィモは使えないんです
RET遺伝子を調べるのに保険適応になっている、オンコマインDxか、ガーダント360などのパネル検査で診断を付けないとダメなんです…
何というムダ…
これって、コロナの抗原検査に似てませんか?
セルフ抗原検査で陽性になって、医療機関で陽性じゃないと薬使えない、みたいな
ちなみに、KRAS G12Cという遺伝子異常も調べられます
この場合も、KRAS用の遺伝子検査か、ガーダント360のパネル検査を追加で行わないと、抗KRAS薬のルマケラスが使えないという…
Amoy Dxは最短で4-5日で結果が出るのですが、もしKRAS G12C変異が見つかった場合でも、改めてKRASを調べるために、プラス7-21日がかかるんですよ…
何だかなぁという感じです
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