銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。

 

 

昨日のNHKのWeb特集の記事

 

ステージ2の乳がんで、術後再発予防のためにアンスラサイクリン系の抗がん剤を使用したところ、心臓への副作用が起こり、心臓移植が必要な状態になったという女性のお話でした…

 

 

抗がん剤の心毒性については、昨年ブログにまとめました

 

 

 

 

 

 

記事にもあったアンスラサイクリン系は、約10%の確率で心毒性の副作用が起こると言われています

 

早期発見し、薬剤を中止して対応すれば元の心機能に戻ることが可能ですが、発見が遅れてしまうと、この方のように一生心機能が低下したままになってしまいます

 

 

患者側が注意するのはもちろんですが、病院・医師側も気を付けなければなりません

 

記事には

しかし、2021年3月までの1年間にこの抗がん剤治療を受けた1000人余りのうち、検査を受けていたのは27.1%でした。

とありました…

 

これでは早期発見は難しいですよね…

 

患者側から検査を促すはたらきかけが重要だと思います

 

 

 

あとは、起こってしまった時に対処できる薬剤の承認を急いでほしいです

 

アンスラサイクリン系の抗がん剤が点滴漏れをした場合に使用されるデクスラゾキサン(サビーン🄬)という薬剤があります

 

この薬剤は、アントラサイクリン治療の抗腫瘍効果を阻害せずに心臓障害を予防するとされ、アントラサイクリン治療とデクスラゾキサンを併用した患者では、併用しない患者に比べて心不全のリスクが約3分の1であったという報告もあります

 

 

日本ではアンスラサイクリン系抗がん剤が点滴漏れした際に、この薬剤が使われます

 

アンスラサイクリン系抗がん剤が血管外に漏れると、”少量であっても皮膚に強い痛みが生じ、腫脹・水泡・壊死などの重篤な皮膚障害を起こし、結果的に潰瘍形成に至る”とされています

 

 

-キッセイ薬品資料-

 

 

話を戻しますが、この薬剤を使用できるようになれば、救われる患者さんは大幅に増えます

アンスラサイクリン系抗がん剤は、小児がんでもよく使用されるので、小児での使用も熱望されています

 

医療上必要として要望書も提出されていますが

 

残念ながら、まだ承認となっていません…

 

治療薬もですが、こういった副作用対策の薬剤のドラッグ・ラグも解消してほしいです…

 

 

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