銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。

 

 

興味深い論文を見つけました

 

タイトルを日本訳すると

 

「統計なんかあてにしない」

卵巣がんサバイバーから見た長期生存に影響を与えた因子

 

となるでしょうか

 

 

どういう内容かというと

 

進行卵巣がんにも関わらず長期生存している26人を数人のグループに分け

・がん診断後の身体活動(運動)

・食事

・瞑想

・祈り

・治療内容

・補完医療

・副作用

について話してもらい

 

その会話の中から

長期生存に影響をおよぼしたと考えられる因子 を拾い上げ、まとめたというものです

 

会話の中からの情報ですから、エビデンスもクソもありません

 

なので、タイトルに

"I'm not a statistic" 

私は統計ではない

 

意訳すると

”統計なんか当てにしない”

が付いたのでしょう

 

話を戻します

 

 

会話の中から主要なテーマが3つ見つかりました

 

①運動や食事など生活習慣を改善した

 

②家族、友人、患者会、医療従事者など強力なサポートに頼ることができた

 

③強い人生の目的を持っており、それは前向きで、自分の人生を自分で管理していた

 

 

①について具体的には

・乳製品、砂糖、肉を控えるようにした

・ウォーキング、テニス、ヨガ、ランニングなどの運動を長期間続けた

・体に必要なサプリメントを摂るようにした(副作用にも役立った)

 

②について

・家族や友⼈からのサポートで役立ったのは、物質的なサポートではなく、感情的なサポートだった

・いろいろ学べる患者会は役に立った

・医師と看護師からのサポートはかなり重要であった(患者の意見を尊重し耳を傾けてくれる、優れた思いやりのあるケアを高く評価した)

 

③について

・人生の目的を持ったからこそ、逆境に直面しても粘り強さと積極性を生み出すことができた

・一部の人にとっては、この人生の目的は家族やコミュニティに奉仕することで生じた(孫娘の世話をすることが生きがいとなっており、悲しいことをくよくよ考えずに済むようになったなど)

・宗教などスピリチュアルなことが人生の目的につながった

・一般的な統計結果を拒否し、前向きな考えを持つことにつとめた(「85%の患者が5年後にはいない」ということは、「15%は生き残る」と考るなど)

・一人の医師が思うような治療を提案しなくても、粘り強く他の医師を探した

 

 

以上ですが、これらは卵巣がん治療に限らず

 

進行がんを克服するために重要なこと

 

だと思いますので参考になれば

 

 

個人的には

 

一人の医師が思うような治療を提案しなくても、粘り強く他の医師を探した

 

はかなり重要だと思います

 

 

 

最近の症例で言えば

 

ステージ4だからと主治医が抗がん剤しか行わない

よくよく話を聞くと、転移が1か所しかなく(オリゴ転移)、局所治療を行うことで長期生存が期待できる

→放射線治療のセカンド・オピニオン

 

巨大肝転移があって抗がん剤がなかなか奏功しない(肝転移以外は抑えられている)

肝転移だけ手術で切除できれば長期生存もあり得るかも

→手術のセカンド・オピニオン

 

というのがありました

 

主治医の方針通りにやっていたら、抗がん剤に結局耐性ができて、二次治療、三次治療となっていき、最後は何も手立てが亡くなっていたかもしれません

 

患者さんにとって主治医はひとりですが、主治医にとっては忙しい中の何百人何千人のなかのひとりであり、基本的にはガイドラインにのせて皆同じような治療をしていきます

 

エビデンスがあるのはもちろんですが、それが最も楽だからというのもあります

 

長期生存の条件として、病院や医師との出会いは重要だと思います

 

 

「親ガチャ」という言葉があるように、「病院ガチャ」「医師ガチャ」はあります

 

*先日の共通テストでも出題されました

 

 

はじめから素晴らしい主治医に出会って、全幅の信頼がおけて良くなっていければベストですが、先に挙げたようなケースもあります

 

がんで長期生存するためには、「自らでよく調べ、考え、違うと思ったら粘り強く主治医と交渉し、ダメなら転医する」は必要です

 


娘さんの横紋筋肉腫の診断で、主治医の意見を鵜呑みにしていたら、診断が遅れ手遅れになっていたかもしれないケース

 

 

 

標準治療が体に合わず、方針転換をして根治できた症例

この症例なんかは、そのまま主治医のところに通っていたら、「休薬」→「再開」→「休薬」→「再開」と繰り返すだけになっていたでしょう…
 
 

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