銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
乳がん術後の患者さんで
手術した側の腕で
・荷物を持たない
・血圧を測らない
・採血をしない
を徹底されている方がいました
あまりにも神経質になっているので
昔はそう言われていましたけど
今の時代は大丈夫ってなっているので
そんなに気にしなくても大丈夫です
と伝えると
病棟の看護師さんから
絶対に右腕は使わないように
と言われたということで
術後からずっと気にしてたそうです
術後数年経った今でも
右手で文字を書くのも不安
っていうくらいですから…
ちなみに、
術後20年経っても手術側の採血を
嫌がる患者さんもいます
乳がんinfoというサイトにも
この問題が触れられていました
むくみ(=リンパ浮腫)が無ければ
血圧測定や注射は気にしなくて良い
というのが結論です
とは言うものの
それでも気になるでしょうから
気になるなら手術した側の腕で
血圧測定や採血はしなくて良いけど
必要な時には安心してやってね
という感じになるでしょうか
以下、
ちょっと難しい話になりますが
乳がん術後のリンパ浮腫について
①どれくらいの割合で起こるのか?
乳房全摘+リンパ節郭清の場合
術後約20年間で約半数の方に
腕のむくみが出ると言われています
ほとんどが術後3年以内に起こるので
その期間は注意する必要があります
もちろん、3年を過ぎてからも
稀ですが起こることはあります
<リンパ節郭清の程度による割合>
・センチネルリンパ節郭清 0~2.8%
・レベルI-II郭清 2.7~5.0%
(通常のリンパ節郭清)
・レベルIII郭清 3.1~9.6%
(より深いリンパ節郭清)
+腋窩に放射線 上記の2~7倍アップ
②予防する方法は?
手術側の腕の怪我や細菌感染
体重増加が発症率を上げ
日常生活や軽いスポーツ、趣味などは
関連が無いとされています
予防としては
1.手術側の腕を清潔に保ち、乾燥しないようにし、感染、外傷(虫さされ、採血、爪切り、庭掃除による表皮損傷)を避ける
2.体重が増えすぎないようにする
の2つに気を付けてもらいます
③治療法は?
リンパ浮腫は薬では改善しません
リンパ管と静脈をつなぐ手術で
改善することがありますが
できる施設が限られます
手術と経過については
亀田総合病院のサイトを参照
リンパ浮腫は早期から対応すれば
圧迫+理学療法などの合わせ技で
改善しやすいとされています
可能ならリンパ浮腫外来がある病院
もし無くても(無い県もある…)
リンパ浮腫のケアに詳しい看護師や
理学療法士がだいたい一人はいるので
教えてもらうと良いです
各都道府県のリンパ浮腫外来数
あと、自宅でのセルフケアも重要です
自宅でできる簡単な対処方法を示します。
- 炎症のある場合は必ず冷やす
- 浮腫のある腕を高く挙上する
- 摩るようなセルフマッサージを丁寧に行う
- 圧迫包帯・スリーブをできれば24時間装着する。
- 腫れた腕は酷使しない。
- 波動型マッサージ器を用いる(ただし補助的に)
<セルフマッサージ動画>
リンパ浮腫についてよく知り
普段からのケアはもちろん
兆候があれば早く対応する
それが重要です
★当院「銀座みやこクリニック」のホームページ”もぜひご覧ください★