銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
転移性尿管がんの治療法は
二次治療以降がここ数年で
大きく変わりましたが
残念ながら一次治療だけは
20年近く変わっていません
まず、1980年代から行われている
MVAC(エムバック)療法
M:メトトレキサート
V:ビンブラスチン
A:アドリアマイシン
C:シスプラチン
白血病などでも用いられる
強力な抗がん剤の組み合わせで
副作用がかなり強烈でした
2000年くらいから登場したのが
GC療法
G:ゲムシタビン(ジェムザール)
C:シスプラチン/カルボプラチン
MVAC療法と同程度の効果があり
副作用が少ないと言うことで
現在はこちらが主流となっています
ただ、その後がなかなか出てきません
海外では
シスプラチンが不可能な患者に対して
キイトルーダが承認されています
テセントリクも
ただ、どちらも
PD-L1が高発現でないと
有効性が低いため
PD-L1高発現の条件が付きます
分子標的薬カボメティクスとの併用で
オプジーボも注目されています
つい最近の発表ですが
日本で三次治療で承認されている
パドセブという抗体医薬と
キイトルーダの組み合わせが
かなり高い奏効率をたたき出し
海外ではこちらが一次治療の
メインになっていきそうな感じです
キイトルーダも承認されていないので
日本ではまだまだ先だと思いますが…
20年近く変わらなかった
尿管がんの一次治療を変えるのは
免疫チェックポイント阻害薬
しかなさそうです
ちなみに
一次治療後の維持療法として
免疫チェックポイント阻害薬
抗PD-L1抗体薬バベンチオが
2021年3月承認されました
GC療法に継続して行うことで
生存期間が7か月も延びます
維持療法で
もう一つ注目されているのが
PARP阻害薬ルカパリブ
将来の話になりますが
一次治療でのキイトルーダや
維持療法でのルカパリブが
承認された場合には
遺伝子パネル検査が必須です
ただ、今の日本の現状だと
治療法が無くなってからしか
遺伝子パネル検査ができないので
一次治療の発展は難しそうです
自費だったらすぐに検査できるのに…
あとは手術で転移部位を切除して
PD-L1などを調べる方法もありますが
こちらも保険適応外ですし
何より手術という負担があります
一次治療が20年経っても変わらないし
今後も期待できないのに対して
二次治療は大きな変化が起きています
次回は二次治療について
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