銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。


 

転移のない前立腺がんの根治治療で

手術治療と放射線治療を挙げたものの

前回さらっと流してしまいました

 

 

前立腺がんの治療では

手術と放射線のどちらも選択できる

という状況が結構あります

 

転移のない前立腺がんの場合には

どちらも同程度の根治が望めるため

メリットとデメリットを提示した上で

患者自身が選択するのです

 

もし、主治医が手術だけを勧めて

放射線治療の情報を提示しない

ということがあったとしたら

主治医を変えた方が良いと思います

*昔はそんな泌尿器科医がたくさんいました

 

 

では

それぞれのメリットデメリットについて

 

<手術治療のメリット>

 

摘出した前立腺やリンパ節を病理診断し、正確なステージを知ることができる

 

手術で摘出して病理検査をしてみると

術前の診断(前立腺生検+画像)よりも

進行していたということがあります

 

進行していた場合には

ホルモン療法や放射線治療を追加して

根治度を高められる可能性があります

 

 

中リスク前立腺がんで生存率が放射線治療よりわずかに高い可能性がある

(高リスクの場合には、放射線治療の方が推奨される)

 

手術による10年生存率を見ると

中リスクの場合には手術の方が良いが

高リスクの場合には放射線治療の方が

メリットが大きくなると言われています

 

<リスク分類>

前立腺がん | 国立がん研究センター 東病院

 

 

前立腺肥大症がある時は同時に改善できる

 

前立腺肥大症を併発している場合

その症状の改善も図れます

合併症で尿漏れが起きてしまったら

良かったのかどうか分かりませんが…

 

 

 

<手術治療のデメリット>

 

合併症(尿失禁、勃起不全)の頻度が高い

 

術後の排尿機能の回復率は60~98%で

放射線治療より尿失禁の合併症が多く

高齢者だとより頻度が高まります

 

また、勃起不全が3~5割起こるので

性行為に積極的な人には向きません

 

 

 

<放射線治療のメリット>

 

排尿障害や勃起不全などの合併症が手術よりも少ない

 

放射線治療のメリットと言えば

やはり安全性だと思います

 

放射線治療でも合併症は起き

数週間以内に起きる急性のものと

照射後半年以上経ってから起きる

遅発性のものがあります

 

急性のものには以下のものがあり

・尿の回数が多くなる(80~90%)

・尿が出にくくなる

・勃起しにくくなる

これらは数か月で回復します

 

 

高齢者でも比較的安全に治療できる

 

前立腺がんは超高齢の患者も多く

その場合でも体の負担が少ないので

治療することが可能です

 

 

 

<放射線治療のデメリット>

 

遅発性の合併症が一生続く可能性がある

 

放射線治療の遅発性の合併症には

・膀胱照射による血尿

・尿道照射による排尿困難

・直腸照射による血便

などがあり、一度起こってしまうと

何十年も続くことがあります

 

直後から一生の合併症が起こる手術

何年かしてから起こる放射線治療

という違いでしょうか…

 

 

通院回数が多い

 

通常の放射線治療の場合は

39回の通院治療が必要になるため

約2か月間毎日の通院が必要です

 

陽子線治療で37回

重粒子線治療で16回

と粒子線治療も通院が多いですが

最新の放射線治療機器では

5-7回で済む照射法もあります

 

 

再発時に再照射ができない


照射が不十分で再発した場合でも

照射した箇所の手術はできませんし

追加照射も基本的にはできません

つまり、なす術がなくなります

 

逆に、手術後に再発した場合には

再発部位への照射が可能です

 

 

 

どちらの治療法が良いかは

年齢や既往症、生活スタイル等を

両治療法のメリット・デメリットと

総合的に考えて判断しますが

なかなか難しいですよね…

 

そういえば、手術で入院する日まで

悩んでいた患者さんもいました

 

 

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