銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。


 

今回は甲状腺がんの中で

ちょっと特殊な髄様がんの話

 

 

甲状腺という臓器の99%以上は

甲状腺ホルモンを作る濾胞細胞です

 

カルシトニンというホルモンを分泌する

C細胞が残りの細胞です

 

C細胞が分泌するカルシトニンは

血液中のカルシウム濃度を

下げる作用をもつホルモンで

このC細胞が癌化したものを

甲状腺髄様がんと呼びます

 

約2/3が原因不明で、約1/3が遺伝性です

 

遺伝性には2種類あります

①多発性内分泌腫瘍2型(MEN2)

②家族性髄様がん

 

詳細な解説は省きますが

いずれの場合でも90%以上の確率で

PET遺伝子異常が見られます

*非遺伝性の場合には60%くらい

 

 

治療方針は基本的には手術で

遺伝性→甲状腺全摘

非遺伝性→甲状腺全摘/片葉切除

となります

 

手術で完全切除ができれば

遺伝性髄様がんの10年生存率は

90%以上あり、予後は悪くないです

 

 

進行して切除不可の場合には

PET遺伝子玄以に対する分子標的薬

カプレルサが使用できます

 

 

カプレルサの前にはレンビマが

カプレルサの後にはネクサバーム

承認されていましたが

 

やはり髄様がんには

RET遺伝子変異に対する分子標的薬を

上回ることはできなさそうです

 

 

2022年3月に承認されたばかりの

RET遺伝子変異に対する分子標的薬

レットヴィモ

 

カプレルサなどの後の二次治療でも

高い奏効率を示しています

 

 

 

 

 

もちろん一次治療でも

 

カプレルサ→レットヴィモにするのと

初めからレットヴィモにするのでは

どちらが良いかは分かりません

 

 

 

同じような分子標的薬として

プラルセチニブがあります

 

こちらも高い奏効率を示しており

FDAでは2021年に承認されました

 

日本でもいずれ承認されるでしょう

 

 

 

あと、RET遺伝子を対象にしていない

分子標的薬も開発されています

 

中国が力を入れている分子標的薬

アンロチニブ

 

こちらもなかなか悪くない結果です

 

 

・カプレルサ

・レットヴィモ

・レンビマ

・ネクサバール

これらをどう使い分けていくのか?

 

確立したものはないので

患者の状態や副作用で使い分けるのも

考え方の一つだと思います

 

次回ガイドラインでは

使用する薬剤の選択や順番など

オススメが載っていると良いですね

 

 

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