銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。


 

今回はこちらのリクエストに応えます

 

 

まず甲状腺の一般的な話は

こちらを参照にしてください

甲状腺がんの罹患率

 

甲状腺がんが増えている

という話になると

福島原発を話題にする人がいますが

 

甲状腺がんの大部分は

がんと言っても進行が非常に遅くて

寿命まで無症状のまま共存できる

珍しいタイプのがんです

 

ということは、見つけなくてもよい

見つけない方が幸せかもしれません

 

福島原発事故と関係のない韓国でも

甲状腺がんが急増し問題となっています

 

その理由がこちらです

 

 

ちなみに

乳頭がん・濾胞がんは

分化型と呼ばれ予後が良く

5年生存率は100%近くあり

ステージ4でも90%あります

 

 

・乳頭がんで低~中リスク

・濾胞がんで遠隔転移なし

の場合には手術のみで完結します

 

・乳頭がんで高リスク

(遠隔転移や周囲への浸潤など)

・濾胞がんで遠隔転移あり

の場合には

 

手術切除

 ↓

放射性ヨウ素内服

 ↓

TSH抑制療法

 

が基本的な流れですが

ヨウ素が効かないケースは

以前は治療に難渋していました

 

また

手術後10-20年という長い期間経って

再発するケースが稀にあり

こちらも治療に難渋していました

 

 

それが分子標的薬の登場で

少し改善するようになりました

 

2013年に承認された

ネクサバール(ソラフェニブ)

 

 

2015年に承認された

レンビマ(レンバチニブ)

 

同じような薬剤なので

どちらかを先にするかは

まだ決まっていませんが

 

レンビマの方が奏効率が高く

副作用も若干軽いということで

レンビマの方が第一選択に

挙げられることが多いです

 

レンビマが効かなくなった後

ネクサバールにスイッチした場合

どれくらい効くのかは分かりません

 

 

さて、この2つが出て以降しばらく

新薬が出ていませんでした

 

 

2021年7月に承認された分子標的薬

ヴァイトラックビ

 

NTRK遺伝子変異のある

進行・再発した甲状腺がんに適応があり

奏効率が79%だったというものです

甲状腺がんだけのデータは不明ですが

かなりの奏効期間が見られます

 

この分子標的薬を使用するためには

遺伝子パネル検査が必要で

標準治療が終了した方が適応となります

 

つまり

レンビマやネクサバールが終了した後

ということになりますね

 

 

 

また、最近、分子標的薬の開発に

かなり力を入れている中国から

こんな臨床試験が発表されました

 

 

先ほどの2つと同じような作用を持つ

分子標的薬です

 

このアパチニブだと

無増悪生存期間だけで22か月!!

生存期間はまだ延長中です

 

そう遠くないうちに

日本でも承認されるかもしれません

 

 

 

次回は

髄様がん

低分化がん

未分化がん

について

 

 

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