昨年末、非小細胞肺がんの治療に

新たな薬剤が加わりました

 

また、今年はちょっと難しそうですが

今後間違いなく承認されるであろう

期待の新薬があります

 

これらを紹介していきたいと思います

 

 

 

非小細胞肺がんの場合

7割の症例で遺伝子異常

が見られます

 

-呼吸器病学会誌第3巻5号より-

 

 

この遺伝子異常があると

分子標的薬が使えて

通常の抗がん剤治療よりは

長い生存期間が得られます

 

肺がんの分子標的薬治療は

2002年のイレッサに始まり

今では下の図のように

多くの分子標的薬が登場しています

 

 

その中にRET遺伝子に対する

セルペルカチブ(®レットヴィモ)

という新薬が加わりました

 

ちなみに約2年前のブログでは

MET遺伝子異常に対する

新薬の登場を紹介しています

 

 

 

さて、RET遺伝子というのは

1985年に日本の病理医が見つけた

有名ながん抑制遺伝子です

 

多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)や

ある甲状腺がんに多く見られますが

非小細胞肺がん患者の

約2%

でも見られます

 

50人に1人という低い確率ですが

もしRET遺伝子の異常があれば

レットヴィモという分子標的薬が使え

 

85%という非常に高い奏効率

最低でも18か月以上という

長い病勢コントロール

得ることができます

 

 

 
 
 
分子標的薬が登場する前
私が医者になった約20年前の
肺がんの資料を振り返ってみましたが

奏効率25%

生存期間8か月

となっていました

 

 

分子標的薬おそるべしです

 

ただ、その分子標的薬も

いつか効かなくなる日が来ます

 

耐性と言って

がん細胞が生き残るために

新たな遺伝子異常を自ら生み出し

分子標的薬を無効にするのです

 

EGFR遺伝子変異のある肺がんでは

イレッサを使用していると

T790M (ウルトラマンの星雲っぽい…)

という新しい遺伝子変異が生まれ

効かなくなることが分かっています

 

ただ、その場合でも

タグリッソという分子標的薬が

T790Mの遺伝子変異に効くので

イレッサ→タグリッソ

というリレーでつなぐことができます

 

しかし、現状では

タグリッソで耐性ができた時に

次に使用できる薬がありません

 

 

EGFR変異肺がんの患者にとって

今一番の悩みである

タグリッソが効かなくなった時は

どうすればよいのか…?

 

その問題が今年か来年中には

解決できるかもしれません

 

 

続きは次回に