今日の抗加齢医学会のスタートは
こんなタイトルのシンポジウムでした。


ガンサバイバーとアンチエイジングは
何かかけ離れたもののように思えますが、

小児、AYA世代のがんサバイバーにとって、
早期老化の問題がトピックになっています。


今回は妊孕性についての話が中心でしたが、
晩期合併症である早期老化についても
しっかり触れられていました。




老化と言えば、
高齢者のフレイルという言葉があります。

加齢とともに低体重、筋肉量の低下、
歩行速度の減少、代謝の低下などが生じ、
自分の体の機能を正常に保ちにくい
虚弱な状態のことをフレイルと呼びます


現在、65歳以上の高齢者のうち、

約10%がフレイルと考えられています。


ところが、小児がんの治療を受けた人は、

治療から10年以上が経過した後、

男性の3%、女性の13%

にフレイルが見られたという報告があります。


成人のガンサバイバーでも、

加齢が早く進行することがあり、

例えば、認知機能の衰え、骨粗しょう症、

皮膚や目の老化、性機能低下などが

同年代よりも早く起きてしまうのです。


白血病で骨髄移植を受けた患者は、

64歳以下でも、

フレイルの割合が同じ年代の一般の人より

約10倍高いと言われています。


ガンサバイバーに対しての、

アンチエイジング医学の必要性が

もっと高まってきます。


晩期合併症については仕方がないと

諦める方が少なくありませんが、

アンチエイジング医学が介入することで

老化を遅らせることができれば

生活の質が変わってくると思います。




一応、妊孕性の問題についても覚え書き

・卵巣凍結は0歳でも可能
 その後移植して妊娠の報告あり

・ランダムスタート法
 白血病など次の生理まで猶予がない時は、
生理周期に関係なく排卵誘発剤を使用し、
卵子を採取する

・5-14歳 死亡原因の1位 悪性新生物

・国ががん対策でAYA世代にやっと注目
→自治体の意識が変わった

・晩期合併症は、二次がんだけでなく、
心疾患、内分泌疾患、呼吸器疾患も多い

・二次性徴に関わる、
精巣の縮小や乳房の発育不全問題などは
ホルモン療法でホルモンレベルを維持すれば
対応できる可能性がある。
しかし、知らない医師が多い

・親の気持ちとして、性の問題に触れにくい、
がんのことを忘れさせてやりたいなどあり、
晩期合併症の性機能の対策が遅れがち。
→小児のうちからがんについて自ら理解し、
選択をしてもらうために、
チャイルド ライフ スペシャリストという
専門職がある