<肺がんの症状>
肺がんは早期ではほぼ無症状です。
病状の進行とともに、様々な症状が出てきます。
あるデータによると
肺がんで初めて出た症状は
以下のような順番でした。
①せき 74%
②体重減少 68%
③呼吸困難 58%
④胸痛 49%
⑤血たん 29%
ただ、これらは肺がんに特有のものではなく
他の病気でも現れるため、
肺がんと区別がつかないことが多いです。
症状が複数あったり、長く続く場合には、
医療機関を受診して調べる必要があります。
呼吸器に関係するような症状以外にも、
がんが産生する物質によって、
肥満、神経・筋肉の障害、意識障害、
ムーンフェイス(顔が満月のように丸くなる)
などが起こることがあります。
<肺がんの診断>
肺がんは、レントゲンやCTで見つかります。
咳やたん、胸痛などの症状がきっかけで
検査をして見つかることもありますし、
健康診断や人間ドックなどで
無症状のまま偶然見つかることもあります。
健康診断や人間ドックで見つかる場合は
症状が出てから見つかるより
小さく、初期であることが比較的多いです。
とは言っても、CTと比べて、レントゲンは
小さな肺がんを見つけにくく、
また心臓や横隔膜などの陰に隠れて、
見逃してしまうことがあります。
じゃあレントゲンは不要かというと、
被爆や費用といった問題もあるので
全てCTを撮るという訳にはいきません。
レントゲンやCTで肺に影が見つかると、
今度は診断を確定させるために
①気管支鏡検査
②CTガイド下針生検
③手術下生検
のいずれかが行われます。
①気管支鏡検査は
細い内視鏡を鼻や口から入れて
細胞や組織を取ってきます。
体への負担は少ないのですが、
採取する細胞数が少ないため、
診断が十分に付かない時があります。
外来でも検査は行いますが、
1-2日入院となるところが多いです。
②CTガイド下針生検は
太い針を外から皮膚を貫通させて
肺のしこりの部分に突き刺し、
直接組織を取ります。
これをCTで見ながら行います。
肺の針を刺した箇所に穴が開くので、
気胸(肺から空気が漏れる)が起こります。
脱気するための管(ドレーン)を入れ、
しばらく入院が必要となります。
③手術下生検は
全身麻酔下に手術で胸を開き、
直接腫瘍を見ながら針生検を行います。
*小切開で胸腔鏡という内視鏡を使います
その後、迅速病理診断といって
生検した組織を30分ほどで診断し、
がん(悪性)と診断されたら
そのまま肺がんの手術を行います。
通常、最も体への負担の少ない①を行い、
診断が十分に付かない時があり、
その場合はCTガイド下針生検が行われます。
③は全身麻酔のリスクがあるため、
手術となる確率が高い場合に選択され、
診断直後に手術に移行することが前提です。
リスクが高いためめったに行われませんが、
診断率はほぼ100%と非常に高いです。