■べっ甲沈金蒔絵かんざし・帯留｜桜のかんざし2017｜輪島塗りの沈金装飾とプラチナ箔、蒔絵の桜。

こんなこともあるのですねぇ。今日は偶然同じ日に、和歌山県にお住いのお二人のお客様に、黒留袖用の礼装用べっ甲かんざしをお買い求め頂きました。お二方（お母様）ともお子様の結婚式を近く控えられていて、黒留袖に合わせる本物の礼装用かんざしをインターネットで色々とお探しになられる中、弊社のWEBサイトに辿り着き、初めてかなめ屋をお知りになられたそうです。

お一人の方は先週、お電話にていくつかの掲載商品についてお問い合わせを頂きました。その後何度かお電話にてお話しさせて頂きながらお品物をお決めになって下さり、本日ご入金を頂き発送させて頂きました。

もうお一人のお客様も同じくかなめ屋のWEBサイトで礼装用のべっ甲かんざしをご覧になり、先週お電話を頂き、本日なんと！実際にかなめ屋にご来店頂き、お問い合わせ頂いたかんざしと共に他の未掲載の礼装用べっ甲かんざしをいくつか見比べ、ご覧頂きながら、最初にお問い合わせ頂きましたべっ甲かんざしをお買い求め頂きました。

お二方とも和歌山県ご在住という以外は全く別々のお客様のご様子です。東京近郊以外、ご遠方からのお問合せ、ご来店も近年とても増えているのですが、同じ県から同じ日に、しかも同じ目的でお買い求め頂くのは初めてかもしれません。本当にびっくりでした。

何度もお話させて頂いている通り、プラスチック、真ちゅう製などのコスチュームかんざしではなく、いざ本物のかんざしを探そうと思うと本当に無いんですよね。東京でも本物のかんざしを取り揃える専門店も百貨店も数えるほどになってしまいましたが、地方都市となるとほとんど皆無となってしまっているところが年々多くなっているように感じます。

本当にご遠方から有り難いことです。銀座かなめ屋のかんざしをお求め頂きまして誠に有難う御座いました。そしてお子様の結婚式が晴天の元、華やかに開かれますようお祈りさせて頂きます。有難う御座いました。

さて本日は、私も拝見するのは初めてでしょうか、石川県の伝統工芸、輪島塗りによく使われる、沈金装飾を施した、珍しいべっ甲かんざしをご紹介させて頂きます。

石川県の輪島塗などに見られる沈金（装飾）とは、漆の表面に刃物等で文様を彫り、その表面にさらに透明な漆を塗ります。そしてその漆が乾かぬ間に、‟表面”に塗られた漆のみをふき取ります。そうすることにより、先ほど彫った‟溝”のみに漆が残ります。その表面に金粉などを振るい掛けると、溝に入った漆が接着剤の役割をし、先ほど掘られた綺麗な文様（図案）が浮かび上がります。その後さらに透明な漆を塗ることにより、溝に入った金粉が密封され固定されます。

べっ甲の場合も同様に、まず無垢のべっ甲に刃物で模様を彫り、その後同じような工程を経て完成させます。そのため、今まで多数ご紹介させて頂いた金蒔絵装飾とは一味も二味も異なった風合いが表現されます。