本日は、モダンで大変きれいなべっ甲かんざしをご紹介させて頂きます。様々な表情を見せる金蒔絵と螺鈿、そして截金(きりがね/かね)、様々な伝統工芸の技が一本のかんざしに集約された、大変見事な準礼装用のべっ甲かんざしになります。
かんざしの側面、峰から足の中央付近にかけて、黒漆をベースに【截金】という手法の装飾が施されています。
【截金(截箔)】(きりがね/かね/はく)とは、金、銀、プラチナなど薄く伸ばしたものを、線、丸、ひし形など、様々な形に切り出して、漆などの溶剤で張り付ける装飾技法を言います。古くから仏像や高級美術品に用いられている技法のひとつです。
また、こちらのかんざしには贅沢に、純金(24K)、しかも通常用いられるものより厚手の材料(約0.04㎜)を使用しています。べっ甲の表面に【黒漆】を用いて貼り合わせ、研ぎだしながら固定させていきます。これは余程のことがない限り、剥がれ落ちることは御座いません。
【黒漆】とは、漆が鉄分により黒色に変化する性質を用いて、鉄や鉄を含んだ化合物を混ぜて作ります。古くは、鉄漿(おはぐろ)などにも用いられていたようです。
煌びやかな金色、落ち着いた雰囲気の金色、また銀色に輝く蒔絵、様々な表情を醸し出すこれらの蒔絵は、すべて純金(24K)を使用した加賀の高蒔絵になります。
これは用いる金(24K)の産地、種類、大きさ、形状など、また金と一緒に混ぜる化合物などににより変化をもたらします。
蒔絵に、きらきらとした光沢を表現したい場合は、【丸粉金】(金を鑢(やすり)で削った鑢粉を丸い球形に仕上げた金蒔絵の最も基本的な材料)を、たたいて潰した【平目金】という材料を用います。小判のように平らな面が多いので、その分煌めくような光沢が表現できます。
逆に、マットな仕上がりにしたい場合は、先ほどの丸粉金を作る元の材料、鑢粉をたたいて薄くした【梨地金】を用います。平目金に比べ、ひとつひとつの形状がギザギザになっているため、光の反射が拡散し、比較的マット(艶消し)な仕上がりになります。
次に、中央に見える一見銀色に輝く蒔絵は、【青金】(せいきん/あおきん)を使用します。金に銀を添加したもので、その銀の含有量が全体の20%を超えるものを言います。経年により、表面に現れている銀が若干酸化して、いぶし銀のような少し落ち着いた、趣きのある色合いに変化する場合が御座います。
そして色鮮やかな螺鈿も、黒漆を用いることによりより一層コントラストが高まり、きれいに映えていますね。
最後に、かんざしの峰の先にある白い斑点のようなものは一体何でしょう?!
答えは、卵の殻、【鶉(うずら)の卵の殻】になります。
こちらも黒漆の上にランダムにカットした鶉の卵の殻を置いて研ぎだしています。面白いですね。
こちらのべっ甲かんざしに、このような素晴らしい蒔絵をい施して頂いた蒔絵師は、かなめ屋のネット上でご紹介しますのは初めてになりますね。加賀蒔絵の名蒔絵師、日本伝統工芸士の光貴さんの作になります。
・べっ甲幾何学模様螺鈿金蒔絵かんざし【abkbf160914-1】¥280,000+税 【完売】※
(螺鈿金蒔絵:高田光貴/大きさ:約縦113㎜、横66㎜)
【再入荷】※基本的な装飾に変更は御座いませんが、大きさが一回り小さくなります。2018.07.追記
・べっ甲幾何学模様螺鈿金蒔絵かんざし【abkbf160914-2】¥370,000+税 【完売】※
(螺鈿金蒔絵:高田光貴/大きさ:約縦109㎜、横60㎜)
※お問い合わせください。
▼「べっ甲幾何学模様螺鈿金蒔絵かんざし2017|武井版・黒革の手帖2017制作発表記者会見時使用。」ブログ2017年08月24日号(※一回り大きな新作:写真左)
https://ameblo.jp/ginza-kanameya/day-20170824.html
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