夜咄ディセイブ
「どうせなら、僕の一番、不思議な咄を。」
「あぁ、僕の一番醜い心。大嫌いで大嫌いで大嫌いで僕は常々、嘲笑ってしまう」
じん(自然の敵P)氏のカゲロウプロジェクト楽曲、14作目。「カゲロウプロジェクト」楽曲としては9作目。
投稿から約4時間59分で殿堂入りを達成。VOCALOIDを使った曲としては歴代2位の速さとなった。
3月18日にはミリオンを達成している。
各サビ冒頭にて必ず歌われる「オーマイダーティー!」は「Oh my dirty!(あぁなんて私は汚い!)」という意味。
今回の作品は、今まであまりスポットが当てられていなかったカノが主人公であり、ほぼ彼の独壇場である。
動画内で、同じ孤児院で育ってきたとされるキド・セトを表す描写がある。
後半部分では、カノがキドを模して女体化したと思しき姿や、セトと同じく赤いヘアピンを髪につけた彼の姿が確認できる。
動画内のさまざまな表情で、カノの表と裏が入り乱れる心情が表現されている。
そして、しづ曰く、「ディセイブ間奏前半~1:34までのカノは限りなく素顔に近いです」とのこと。
更にラスト付近にて、泣いている幼き頃のカノが確認でき、また能力を手に入れた年齢を推測できる表現もある。
作詞:じん(自然の敵P)
作曲:じん(自然の敵P)
編曲:じん(自然の敵P)
唄:IA
PVは しづ氏 が手掛ける。
ベースを 白神真志朗氏 が、ドラムを ゆーまお氏 が演奏。
歌詞
“嘘をつくのは得意なんだ”
“でも、本音は少し苦手でさ”
“可笑しいね、いつだって”
“本当の咄が、一番嘘臭いんだよ”
ビバップな浮遊感 夜が次第に乱反射して
ツービートで光って たまには愚痴っちゃって良いかな
「ねぇ、ちょっと話そうか。馬鹿な自傷症性なんだけど、
もうなんか収まらない。ネタ話だって体で一つどう?」
「じゃあ、ちょっと喋ろうか。僕の非凡でいて 妙なとこ
平凡を装った 僕がずっと悩んでいる事」
「十年は経ちそうなある日 『怪物』の声がして
心臓を飲み込んだ『嘘をつき続けろ』ってさ」
「それ以来、僕は嘘つきで
騙せない人や物も無くなって
『怪物』に成り果てちゃってさ
・・・あぁ、ごめんね!泣かないで! 全部法螺話だよ?」
「オーマイダーティー! なんて醜態! 」
僕は誤魔化す なんて言ったって
この本心は不気味じゃない?
偽って、そっぽ向いて、嘘を重ねて
僕は今日もまた 徒然、嘲笑う
ビバップ、消えそうな 夜が嫌いそうな少女にも
ツービート、泣きそうな 嘘が嫌いな青少年にも
そう、もう同じ様に ちゃちな「理想」がインプットして
心臓を飲み込んだそれ以来気付いたんだ、僕らは
「単純に理想叶ったとして、
一人ぼっちじゃこの世は生きていけない」
「それも嘘?」
「いやいや、本心だよ?」
崩れそうな脳が『No』で満ち満ちていく
「オーマイダーティー! もっと聴いて!」
僕の心を 我が儘を この嘘を 本物を
「寂しいよ」なんて言った
僕は変わらない
ニヤけそうな程、常々呆れてる
「オーマイダーティー! もう嫌いだ! 」
ほら、聴かせてよ
呆れちゃう様な 僕なんて
もう救えない?
『問題ないぜ』なんて言って
君は変わらない
「あぁ、ミスっちゃった」
また不気味な僕に、常々溺れていく
“あぁ、ちょっと喋り過ぎちゃったね”
“まぁ、ただの『法螺話』だからさ”
“それじゃあ今日はこの辺で”
“次に合図が鳴った時は”
“もっと不思議な咄をするよ”
登場キャラクター
カノがメイン。キド、セト。
解釈
最初に語りかけている人物。
まず、カノとの面識がある。それから泣くような人物。
→キド?
怪物、とはなんなのか
→カゲロウデイズに巻き込まれた本心を隠す自分?
「・・・ああ、ごめんね 泣かないで!
全部法螺話だよ?」
なんて仮面を外して言う
面をとったカノの目が赤いのを見ると、法螺話ということが嘘
つまり、ここまでの話は本当
ということではないかと
オーマイダーティ!
明らかな自虐ですね
嘘をついているうちに、本当の自分が、おかしいものに見えてきてしまう
嘘をついて周りに振る舞えば、それはそれはある程度、社会的の上等なコミュニケーションに困らないくらいにはなれたでしょうね
でも、本当の自分はたぶんそんなことできなくて
だから、また嘘を重ね、嘘を重ね……
もう、そうやって日々を生きているんです
で、そこのPVのカノが一瞬振り向くところがあります
貴音(ガスマスク)→シンタロー(すまし顔で通り過ぎる)→?(笑うところ)の順で恐らく欺いています。
?は遥予想。笑う人物だと思います。
消えそうな、夜が嫌いそうな少女
→キド
泣きそうな、嘘が嫌いな青少年にも
→セト
つまり、キドとセトはカノの唯一と言って良いほどの拠り所であるのに、元を言うと否定要素が根本にあるっていうことですよね
それを知っているからこそ、キドセトとかのは一緒にいたいけど嫌われてるっぽいからいちゃいけない
だから僕の居場所がない
同じ様でちゃちな「理想」とは、たぶんこれは、
みんな幸せに平和に生きていれる
みたいな感じですかね
で、単純にこの理想が叶ったとしたら
一人ぼっちじゃこの世は生きていけないんですよ
一人ぼっちじゃこの世は生きていけない、なんて悟ったような一般論を言うカノの前に現れるもう一人のカノ
これは、『本心』のカノとでも解釈しましょうか
なんとなくわかっていただけると思いますが、嘘つきの自分を嫌っている、厭っている自分ですね
仮に、「本心のカノ」とでも置きましょうか
「それも嘘?」
本心のカノが問います
周りに色々な仮面(これまで欺いてきたカノの記憶(?))がばらまかれるなかで、己と相対しながらも、カノは
『いやいや、本心だよ?』
と笑って言います
黙る「本心のカノ」
その視線が痛くて、カノは目を覆い、崩れ落ちます
崩れそうな脳が『NO』で満ち満ちていく
ここでいう本心ではないんだよ、という意味の『NO』とは、
一人ぼっちでも生きていける
という意味ではなく、
一人ぼっちじゃ生きていけないってことを信じて、生きていける?
というような問いに対してのもので、
そんなんじゃ僕は一人ぼっちだから死んじゃうじゃないかという嘆きが、崩れ落ちることで表されているのでは…
僕の心をもっと聴いて
たとえこの言葉も、自分の存在も、我が儘も、君が僕を思うその気持ちさえ嘘でもいいから、
僕がここにいるってことを証明したいんだ
なんて言うけれど、
それすら嘘なのかもしれなくて
でも本心なのかもしれなくて
そんなことももうわからなくて
僕は変わらない、変われない
ドラムソロの間奏は、数々の欺いてきた自分の姿、ですかね?
そんな罵倒を早く聴かせてくれたら、欺いてうまくやっているカノを突き飛ばしてしまえば、欺きっぱなしのカノが元に戻れる──「本心のカノ」になれるかもしれない
そんな偽りでもない、不気味な本心の言葉なんてカノは誰に言えるでもなく、
『問題ないぜ』
なんて言っちゃうんだろう?
このあとの君
→話している人物、もしくは本心のカノ?
曲名意味
①Desave
②Deceive
の二種類で訳せます
そして
①Desaveは、
否定(De)+救う(save)=救えない(Desave)
②Deceiveは、そのまま
欺く(Deceive)
恐らくどちらの意味も含まれています。
①は呆れちゃうような僕なんてもう救えない、のところ。
②は目を欺く話という意味。
夜咄はそのまま夜の話。
舞台も夜だったし、夜という単語やそれを連想させるものもいくつか。
(咄=話)
咄の意味
①舌打ちの音。
②落とし話。
→しゃれた語呂合わせを使って最後をおもしろく結ぶ話。落ちのある話。(落語用語)
しゃれた語呂合わせ、最後をおもしろく=欺く
あと夜は昼の反対だから、裏(本心ではない)みたいな意味もあったり?
夜咄ディセイブ=欺いた話をする夜
PIXIV百科辞典他より引用。