専門系の中華料理店の存在にはじめて遭遇したのはホテル時代でした。勿論、京都でも歴史のある中華料理店も沢山存在していたのですが個性の際立つ「四川料理」は若い私にとってかなりのインパクトがありました。約40年近く前の話になります。その味を覚えると人は誰かに伝えたくなるものです。その次は自分の周囲に同じような店がないか探す事になります。錦の烏丸通りに面したビルの地下に「四川料理」という看板ありました。歩いて10分もかからないため大きな期待を込めて向かいました。価格はホテルよりも安価でしたが一般的に安いとは言えません。ホテルの飲食系で仕事をしていなければ入ることは無かったと思います。

 

実のところこのお店は本当に中国の方が食べる四川料理のお店でした。ホテルで食べる料理とは大きく異なる味わいと材料です。結局、「なるほど・・」と思いながら、これは本場の料理とホテルの料理とは大きく違うということを実感した一例でした。この一例は中国料理に限らず全てのジャンルの料理に通じます。その後、独立しホテルでの食事環境から街の専門店で食事を行う機会が増えます。中でも一番驚いたのは「パリの食堂」というお店でした。ホテルのフレンチとも街のフランス料理店とも違う味わいは感動的でした。まさにパリの食堂、場末のレストランなのです。味わいにフランスを感じました。当時は常に「もっと洗練されたもの」を求める必要が私にはあり、この感動は違うものだと思っていたのですが今でも当時一番輝いていた存在だったと思っています。

 

田の字周辺とは異なり銀閣寺・神楽岡に移り住んでからは四川料理店の看板が目につきます。キーワードは「四川山椒」で特徴的な香辛料です。当然のごとくいくつかのお店で楽しませて頂きました。やはりホテルで修行された方は上品な仕上がりのテイストになり、逆に中国の方がつくる四川料理には中国人テイストと言える味や食材が並びます。とにもかくにも百万遍周辺から高野に向かって行くと「四川料理」の看板に何軒か出くわすことになります。

 

 

お店の宣伝をしたいわけではありませんが今の私のお気に入りは「シャクホウ」です。中国の方が接客も調理も行われていますが味がホテルと街の間を行きます。定食が前面に出てきていますが一品を選んで食します。場所柄、学生さんや学校関係者、お仕事の方が多いようですが夜の一品がお薦めです。理由を申し上げたいのですが伏せておきます。機会があればご一緒しましょう。

 

それでは今夜も台風の影響があるかも知れませんが密にならず距離を空けて営業いたします。

 

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