人はときに、
「責任感がある・ない」で
自分や誰かを判断してしまいます。
けれど――
その“責任”の基準は、人によって驚くほど違うもの。
「この人は無責任だ」と感じたとき、
私たちは本当に、その根拠を明確に説明できるでしょうか?
多くの場合、その判断は理屈ではなく“感情”から生まれています。
感情を基準にすれば、
そこには当然、揺らぎや矛盾も生まれます。
その曖昧な物差しで自分を縛っていると、
やがて「選ぶ」という行為そのものが重くなっていくのです。
では――
私たちは何を基準に選べばいいのでしょうか。
1章|当たり前は、当たり前ではない
朝、目が覚める。
立ち上がれる。
歩ける。
呼吸ができる。
それらは“当たり前”のようでいて、
本当は奇跡の連続です。
呼吸は、命のはじまりであり、終わりでもあります。
赤ちゃんは、まず一息吸うことで生を始め、
最期は一息吐いて幕を閉じます。
私はかつて心筋梗塞を経験し、
呼吸が思うようにできない時間を過ごしました。
あの瞬間、
「当たり前」が崩れる恐怖と、
“生きている”という実感を同時に知りました。
命は、想像以上に繊細で、
そして尊い。
2章|なぜ「衣食住」は衣から始まるのか
多くの人は「食」が最優先だと思うでしょう。
しかし“衣”とは、単なる服ではありません。
生まれたばかりの命を包む“おくるみ”です。
・体温を守る
・外気から守る
・安心を与える
命はまず、守られることで続いていきます。
災害時に最初に求められるのが毛布であることも、
偶然ではありません。
生命は、包まれて始まる。
これは、とても静かな真理です。
3章|誰もが最初は「親の素人」
あなたが今ここにいるということは、
誰かが何度もあなたを抱き、
何度も包み、
何度も世話をしたという事実があります。
どんな環境であれ、
そこには「命をつなごうとした行為」があった。
すべての親は、最初は“親の素人”です。
・未熟で
・迷いながら
・傷を抱えながら
それでも、必死に育てようとした。
この未完成の営みの上に、
今のあなたが立っています。
あなたは「偶然の命」ではなく、
“つながれた命”です。
4章|手塚作品に流れる「選択」の哲学
鉄腕アトムは「人間とは何か」を問い、
ブラック・ジャックは救えない命と向き合い、
火の鳥は永遠と輪廻を描き続けました。
彼らが特別なのは、能力ではありません。
“誠実な選択をし続ける姿勢”です。
選択とは、大きな決断だけではありません。
・怒りを飲み込む
・一呼吸おく
・相手の話を最後まで聞く
・自分を責めすぎない
この小さな選択の積み重ねが、
人生の方向を決めていきます。
5章|感謝を基準に選ぶということ
感謝とは、礼儀作法ではありません。
それは――
「自分の命がどうつながれてきたか」を理解したときに生まれる、
静かな認識です。
呼吸がある。
包まれた時間がある。
何度も抱かれた過去がある。
その事実を知るとき、
選択は“重荷”ではなくなります。
「命をどう使うか」という意思へと変わるのです。
結び|人生は、日々の小さな選択の積み重ね
手塚治虫の作品が問い続けたのは、
壮大なヒーロー論ではありません。
“あなたは、その命をどう使うのか?”
という、静かな問いです。
人生は、劇的な瞬間よりも、
日々の小さな選択で形づくられていきます。
呼吸し、
守られ、
抱かれ、
つながれてきた命。
その上に立つあなたが、
今日どんな一歩を選ぶのか。
その選択こそが、
これからの人生を静かに決めていきます。