週に1度、脳外のM先生の外来があります
M先生は大学病院で外来をもっていますが
密に患者さんと接したい・・
もっと人間らしく関わってあげたい
生きたい患者さんを応援したい
支える家族をサポートしたい・・
そんな想いで、当院のオープンからクリニックの構成メンバーになっています
院長の三好Drも「熱い医師」でありますが
脳外M先生も「超熱い医師」で
M先生の診察室は冬でも「暑い」と有名です
この診察室でも多くの物語が発生します
大学診療が終わり、当院へ
⇒当院治療+在宅医のサポート
⇒通院できる間は併診で治療を行い
⇒進行とともに、在宅医へ主治医交代 となります
タイミングはなかなか難しい・・
まだまだ元気に通院できると思っていた方が、数週間で別人になっていたり
逆に、あと数回の通院と思われていた方が数か月安定した状態で通院できたり
中には、気がついたら1年という「年」を越した方も・・
ただ、病気が病気ゆえに
『悪いシナリオは常に考えておいてください・・と』 なります
私たちも多くの患者さんを診ているので、先が読めたりします・・
でも、その先読みを大きく裏切ってくれる患者さんもいます
〇さんもその一人です
歩けなくなり、車いすで通院になり
会話がなかなか十分にできなくなり
でも、言葉以外で疎通ができ
いつもおしゃれで・・
帽子やポケットチーフ、靴下の色などいつもキメて来院
家族がいつも明るく、おしゃれ話で盛り上がるほどに・・
ただ、ゆっくりとゆっくりと病状は進行し
あと何回通院できるか・・と皆、心の中で思い
訪問の看護師や、在宅の先生も徐々にサポートを強化しました
家族も言葉にしないまでも、これが最後かもしれない・・と
診察室でM先生と一緒に記念撮影
皆、言葉にせず、満面の笑みで想いを共有します・・
一応次の予約は入れますが、決して無理をしないでください
⇒ はい、もちろん・・大丈夫です・・知っています!
これも、家族との「無言の会話」です
でも次の予約日、〇さんは、なんの変化もないように来院します
家族も「へへっ・・来ちゃいました~~~」
M先生も 「よく来たね~~大きな変化ないね~~~」
そして、再度の写真撮影
さすがに、その後何度かの来院時は写真撮影はせず・・
大きな変化なく、相変わらずおしゃれに通院していました
〇さんはこのままこの状態を長く続くられるんじゃないか・・と
私たちの感覚もマヒしてきました・・
ある日、奥様から電話が入りました
M先生につなぐと、M先生が元気な声で
「よく頑張ったね・・ホントよく頑張った、あっぱれですよ」 と称えています
〇さんの実在が無くなったという報告でした
これ以上頑張れないほど支えた家族・・
奥様の声は、自信に満ちた声に聞こえました
頑張っている〇さんと家族から、支える側の私たちが元気や勇気をもらいました
忘れられない物語が増えました・・
〇さんのご冥福をお祈りいたします