Cさん、40代の男性です

遠方から新幹線で通院していました

男性特有の、「多くは口にしない」タイプの方でした

がんの中でも、予後の悪いと言われているがんに罹患していました

 

本人も重々承知しているため

可能性のある治療を求め、全国あちこちの医療機関を受診していました

 

がんが分かった時に、余命3カ月と言われました

抗がん剤が良く効いて10か月経過しましたが

徐々に腹水が溜まり妊婦さんのようなお腹になりました

 

再度余命3カ月と言われました

振り出しに戻りました・・

 

それから当院の治療が始まりました

地元で腹水治療も継続しています

お腹に水が溜まると苦しくて食事が出来なくなります

お腹だけが膨らみ、他はどんどん痩せていきます

それでも眼力(めぢから)はありきらきら闘志が感じられます

 

あいだに他の治療を入れたり

通院が厳しいときは腹水治療に専念したりと

その時に出来る治療をコツコツと行いました・・

その結果再度の余命宣告からまた10か月が経ちました

 

 

久々の来院時に

高校生の娘さんが付き添っていました

 

お嬢さんとデートですね・・と話をすると

 

「3回目の余命宣告されたんです・・

どうも今度は本当らしく

娘との時間作りたい・・と思って新幹線で一緒に来たんです」

 

横で娘さんがニコッとしますにこにこ

 

2度ほど娘さんと一緒の通院がありました

細くなっていく父を、娘さんの眼が支えています

手を出さないように・・眼が追っていました

 

地元での緩和医療が中心となりました

 

しばらくして家族から電話が入りました

「残念ながら3回目の余命宣告は回避出来ませんでした涙

お世話になりありがとうございました・・」 と

 

 

余命を知り自分の生き方を考えられる人

余命の数字に振り回される人

当たる余命

外れる余命

 

宣告されることが良いことなのか

患者さんを通して色々と考えさせられました