本日の産経新聞の1面です
見出しだけ見ると
『高齢患者は抗がん剤の効果が少ないことが分かったので
年代別に治療を推奨するかどうかのガイドラインを作ることにしました』
と読み取らせようとしています
ところが中身を読んでいくと(同内容のSankei BIZより)
政府と国立がん研究センターが、高齢のがん患者への抗がん剤治療は
延命効果がない可能性が高いとする調査結果をまとめたことが27日分かった。
厚生労働省は結果を踏まえ、年齢や症状別のがんの標準治療の提供に向けた
ガイドラインを作成する方針。患者の年齢や容体に見合った費用対効果の高い治療法を
推進し、患者のQOL(生活の質)向上や、拡大する社会保障費の抑制につなげる。
調査は国立がん研究センターと厚労省、経済産業省が主体となり、
2007年から08年までに同センター中央病院を受診した70歳以上のがん患者
約1500人を対象に実施。患者をがんの種類別に分類し、抗がん剤による治療を中心に
行った場合と、体や精神の痛みを和らげる「緩和ケア」に重点を置いた場合との生存期間を比較した。
その結果、主に肺がん、大腸がん、乳がんを患った末期(ステージ4)の高齢患者については、抗がん剤治療の有無にかかわらず生存率は同程度だった。
肺がんの患者を比較した場合では、受診後の生存期間が0~20カ月は抗がん剤治療を受けた患者の方が多かったが、40カ月以上存命したのは抗がん剤治療を受けなかった患者だけだった。75歳以上では10カ月以上生存した割合は抗がん剤治療を受けなかった患者の方が多く、生存期間も長かった。また、胃がん、肝がんについては、高齢の患者数が少なかったため、評価結果の公表を見送った。
日本では、がん治療実績の情報開示などが進まず、高額な抗がん剤治療が、費用に見合った延命効果があるかを検証するデータはなかった。政府は、この調査結果を基に、年齢や症状ごとに適切な治療を行うための診療プログラムの作成などを進める。
そして、同日の朝日新聞では
「高齢者の抗がん剤 指針作り」 と割と穏やかな見出し
抗がん剤はがん治療に効果があるが、吐き気や痛みといった
副作用を伴うことが多い。ほかの病気を抱えることが多い高齢者の場合
抗がん剤の効果がはっきりしない面もある。
高価な抗がん剤の使用は医療費を押し上げているという指摘もある。
国立がん研究センターは2007~08年に受診した患者について
抗がん剤を使って生存期間に差が出るかを調べた調査結果を公表した。
末期の肺がんでは75歳未満は抗がん剤治療をした人としなかった人で
延命効果に差が出たが、75歳以上では大きな差はなかった。
ただ、分析できた75歳以上の症例数が19人と少ないため
「科学的な評価は困難」という・・・・
結局、双方の新聞から
「高齢者の抗がん剤治療は効果がはっきりしない面があり
治療による副作用やQOLの低下、ひっ迫する財源のことも考えると
治療を積極的に推奨するかのガイドライン作成することにした
そのために今まで行ってこなかった大規模な症例調査を行う」 と読み取れました
確かに、分析できた75歳以上の症例数がたったの19人とはお粗末
75歳以上の患者さんたちが多く通っている
当院のデータを出してあげたくなりました
QOLを損なわず
基本的には保険診療で行え
デイサービスのように毎週決まった曜日に通院
治療ができる ⇒ 希望 ⇒ 欲がでる ⇒ 延命に繋がる(もちろん薬の効果も・・)
そんな「少量抗がん剤治療」を行っている当院は
ひょっとしたら先駆けなのかも知れません