標準治療を受けていた患者さんがいます(Sさん)
なかなかコントロールがつかなくなり、余命宣告をされました
ほかに治療がないか・・と探して、当院にたどり着きました
相談ののち、少量抗がん剤治療を開始しました
2年以上治療を継続していたある日
点滴治療中に突然アレルギー反応が出ました
ある抗がん剤によるアレルギーです
治療の継続が出来なくなりました
病状が安定していたこともあり、以降はしばらく経過をみることになりました
数か月ごとの採血と画像検査を繰り返しました
経過観察の期間がもうすぐ2年になろうとしています
この間なんの治療もしていません
不思議なことに体内の「がん」は大人しくしています
腫瘍マーカーも大きく動かず
画像上の変化もありません
がんが突然動き出したらどうしよう・・という不安を抱えながらも
Sさんは、地元のがん患者さんの相談役になっています
余命宣告され、一時は自暴自棄になった自分
それなのに当時より元気に居られる今
それでも先の見ない毎日・・
だからこそわかる、他のがん患者さんの気持ち
なんとか元気になってほしい
明るい気持ちで毎日を送ってほしい
だれかに気持ちを聴いてもらうだけでも違う
自分がそうだから・・
相談を受けるのは、大抵は治療が上手くいっていないとき
そして治療の選択を迫られたとき・・
自分と相手の選択が違う・・どうしたものか・・
相談を受けても悩む・・
その中で自分より若い「がん友」が先に逝く辛さを経験し
もっと自分がかかわってあげられたら別の選択ができたのでは・・
無力だった・・
そう話すSさん
私はそうは思わない
話を聴いてもらうだけで良かった
近くに居てくれるだけで良かった
自分の選択を否定しないでくれてありがとう・・
当事者同士の言葉以上のつながりが嬉しかった
天国でそう思っているのではないでしょうか
これからも、自身の経過観察を続けながら
当事者だからこそ関われる支援を続けてくださいね
Sさん