いつも前向きで、笑顔の絶えない患者さん(Aさん)が来院されました
元気が無く、笑顔もありません・・
なんでも、風邪をひいてから胃腸の調子が悪く
食事を摂ると吐き、食事が十分に摂れず、脱水にもなり
近くの病院で点滴をしてもらっていた と
入院しますか?と聞かれたけど、入院したらどっぷり病人になってしまうので
「自宅から通院します」とお断りし
家族の協力を得て、自宅で療養していた
食事が思うように出来なかったので体力が落ち、体重も減った
食事が出来ず、外出も出来ずに家の中に居ると
このまま食事が出来なくなって死んでしまうのかな・・と
悪いことしか考えられなかった
今までは、「がんがあっても無くても私は私
自分が自分だけで出来ることは、どんな時でも笑顔で居ること」と
自分に課していたけれど、治療も長くなるとなかなか・・・
初めのころはがんばろうってモチベーションが高かったけど
同じモチベーションでずっとは居られない
もうどうなってもいいって自暴自棄になったりもして・・
がんで死ぬんじゃなくて、脱水で死んだらかっこ悪いな・・
せっかく今までがんばってがん治療してきたのに
死ぬんだったらがんで死なないと・・
っていうか、もう少し生きたいし
家族が、私が吐いた汚物を処理してくれて・・
それも何度も何度も・・
申し訳なくて、「ごめんね・・」って言うと
「ごめんっていうの止めてくれる
こっちまで気持ちが下がる」 って
ごめんねって、いっぱい言ってたな・・と思って
それから、「ごめんね」とか「すみません」って言いたくなると
全て 「ありがとう 」って言うようにしたの
そうしたら、自分の気持ちも上がってきて
相手も「どういたしまして」って笑顔になって
笑顔は移るんですね・・
ここのところ、胃腸の調子が悪いのが1番辛かったので
がんのことを忘れてたというか・・
でも、こうして久々に、ようやく治療に来れて・・
これは持久戦というか・・
「がん」は常に私の体の中に居て、根治が出来なくて
大人しくなったかと思うと、猛威をふるってきたり
敵はどんどん変化するわけじゃないですか・・
だったら私もがんとの付き合い方を変えていかないと
ずっと同じじゃいられない・・
「がん」 も 「私」 も生きてますからね
話をしてるうちに、Aさんの笑顔が戻ってきました
哲学者のようなAさんの言葉から学ぶことがたくさんあります
経験者にしか語れない言葉です