緩和ケアを専門に行う「緩和ケア科」という科があります
どこの病院にでも有るわけではなく
がん拠点病院や、それに準じた病院など
大きな病院に専門の科としてあります
また、ホスピス緩和ケア病棟として
専門の「病棟」を有している病院もあります
がんの患者さんで「あとは緩和へ・・」と言われた方は
自宅から近い「緩和ケア」を行っている病院に連絡をして
初診の予約を取りますが、そこで
「今、何か治療をしていますか?」ときかれ
「抗がん剤治療を行っています・・そろそろ終わりそうですが・・」
「少量の抗がん剤を行っています・・ただいつまで継続出来るか・・」など
話をすると
「じゃあ、抗がん剤治療が終わったら電話を下さい
治療中のかたは入院できませんから」 と
初診外来の予約すら取れないところもあります
また、初診の予約が取れ、緩和の初診外来でも
治療にこだわらず潔い撤退も・・
そろそろ緩和に専念した方が・・ など
早めに治療を終了して死にゆく準備の時間に充てるべきと
誘導する先生もおられる
んんん~~「潔い撤退」ってなんだろう
自分で決めるのではなく、それを先生から言われるのってどう
そんなに簡単に諦められるんだろうか・・
ひとことで言えば「緩和ケア」でも
中身は全然違うし、先生の考え方も全然違う
表向きには
緩和ケアは「がんの治療」と一緒にはじめます となっていますが
実際はまだまだ、「緩和ケア」=「ターミナルケア」=「ホスピス」と
同義語になっているように感じます
ある緩和の先生のところに、少量抗がん剤をはじめた患者さんが受診しました
通院出来なくなったり、治療出来なくなったら・・と
緩和にエントリーの為の受診でした
その患者さんは標準治療の副作用が辛くて継続出来ず
QOLを重視したいと、当院に来られた方でした
前医からの紹介状にもそう書いてありました
ところが、緩和ケアの面談に行くと
まだ元気なのだから標準治療を受けるべきと言われ
その場で、某がん専門病院の予約を入れられてしまいました
「あっという間の出来事で
反論することもできず、気が付いたら専門病院で標準治療を
再度受けることになりました・・
なんでこうなったのかよくわかりませんが
継続できなかったらまた戻ってきます」 と言って
標準治療に再挑戦に行きました
患者さん自身も揺れています
どちらの選択がベストなのかはわかりません
けど、当院の治療中は趣味を充実する事が出来
いつも元気に、明るく通院していました
今もそうであってほしいと思いますが、いかがでしょうか・・
自分はどう生きたいか
大事な人にはどう生きてほしいか・・
特に緩和の時期にこうでなければいけない・・なんて生き方は
誰のための人生でしょうか
わがままに生きてもよいのではないでしょうか
緩和の時期だからこそ後悔しないように
行動に起こすべきではないでしょうか
以前、有名な在宅緩和の先生の講演を聞き
意見交換をさせてもらいました
緩和や在宅の先生で自分の考えを押し付ける先生がいる・・と
前置きし、実例を話しをすると、その先生は顔を紅潮させて
「その方たちはプロではありません
プロの医者はその人の生き方に寄り添います
その人らしさを尊重するのがプロの医者なんです」 と・・
その先生の熱い言葉が、私の胸に突き刺さりました
熱いO先生のような緩和医が増えていくことを
切に望みます