クリニックが出来て、10年目になります

この間、多くのがん患者さんに来院いただき

多様な生き方、考え方に接してきました


10人居れば10通りの生き方・・というのは本当で

自分らしい生き方を模索します


そして、生きていくために切っても切れないお金との関係・・

一般にはお金が多くあれば選択肢が増えるので幸せ・・と考えますが

では、お金が無ければ不幸せなのでしょうか


当院は今までに生活保護の患者さんも数名来院されています

少し紹介したいと思います



Mさん女性、ひとり暮らしの方です

海外で仕事をしていましたが、進行した卵巣がんがわかり

治療のために日本に戻ってきました


帰国時に所持金が少なく

住むところもなく

病気のために、働くことも出来ないことから

生活保護を申請したとのこと


複雑な家庭環境であり、家族に頼ることが出来ない方でしたが

多くの友人達が、サポート体制をとってくれました


住まいの環境を整えるサポート

病院を選ぶサポート

そして、通院のサポート・・


当院への通院のほとんどに友人が同行してくれました

診察室に家族と同じ立場で入り、病状も把握してくれました


のちに病状進行し入院が必要になった時にも

家族代理で病状説明を受けたり

複雑な家族関係の仲介に入ったり

入院中の病状の変化を報告してくれたり・・


それはそれは、「友人っていいな・・」と羨ましく思ったほどでした


「おひとりさま」・「がん末期」・「生活保護」

言葉を並べると、マイナスイメージになりますが

Mさんは、はじめから 

「家族のサポートが無い」、「お金が無い」と公にしていたことで

周囲の友人たちに「自発的なサポート体制」を作らせてしまいました


Mさんは「お金」はありませんでしたが

「友人」という財産を持っていたのです


Mさんが亡くなったあと

「生活保護だったので、きちんとしたお葬式を出してあげられなかった・・」

と言って、友人たちが手弁当でお別れの会を催していました

多くの友人たちが代わる代わる出演する、音楽のイベントでした


「お金があるから幸せ」とか

「お金が無いから不幸せ・・」とか、関係ないんだな・・


財産って「お金」だけじゃないんだな・・と学ばせてもらった

Mさんの生き方でした