先日、「がん」と診断され、もうすぐ5年の患者さん(Mさん)と

話をする機会がありました


Mさんの口から発する言葉が「哲学」であり

私一人の心にしまっておくのはもったいないので

ご紹介することにします




Mさんは50代の女性

遠方からの通院のため、ご主人と20代の娘さんと一緒に来院されます


点滴治療中に話しを伺うと


骨の転移が進み、痛みが出てきて

今はそれが一番しんどい


地元の先生から医療麻薬を処方されたけど

貼るとかえって具合が悪くなる・・


今まで手術も抗がん剤も放射線も、全部やってきて

もうこれ以上は治療が出来ない・・って言われたところ

夫がいろいろ探して銀座にたどり着いた

家族が居なかったら来れなかった・・ありがたい


以前の抗がん剤の副作用のしびれがまだ残っていて

改善されない、しびれってなかなか治らないんですね


腎機能が悪くて、透析の一歩手前と言われている

だから標準抗がん剤は出来ないらしい・・


放射線も今まで散々当ててきてるので

被ばく量を考え、CT検査なども間隔を開け、

回数を減らす必要があるって言われていて・・



結構進行してるし、もう治療が無いって言われても

私、明るく、笑っていられるんです

笑っていよう・・て自分で決めたんで・・


だって私が辛い顔したり、落ち込んでたら

周りが暗くなるでしょ・・落ち込むでしょう・・

病気で暗い顔してるお母さんが家にいたら、娘に悪影響でしょ


娘に「笑ってて馬鹿じゃないの、自分の状況知ってるの?」って

言われました

「だって暗い顔しても1日は1日でしょ

だったら笑ってたほうがいでしょう・・」って言い返したんです


90代の義父母と同居なんです

義父母が言うんです

「病気の嫁が、元気に明るく振舞ってるのに

私らが具合悪くなれん・・病気の嫁に迷惑かけないように

元気でおらんと・・」・・ありがたいです



病院で採血するときに、看護師さんが

「痛いですよ~~」って言うんですけど

「痛いのは生きてる証拠、死んだら痛いのわからないもん」って

返すんです、そうすると看護師さんも「そうそう、その通り」って

笑ってくれるんです

そんな会話続けてきたら、私のこと、苗字じゃなくて名前で呼んでくれるように

なったんです・・先生もそう・・

なんか近しくなって、嬉しいですよね・・


「笑うようにしよう」って決めたのは最初の入院の時だったんです

子供さんも入院して治療してて

親も付きっ切りで・・

それ見たときに、私なんかこの年齢まで元気に生きてこれて・・

こんな小さな子供ががんばって治療してるのに・・


その子の親の気持ち考えると

代わってあげたくても代わってあげられず

子供の前では気丈にしないといけず・・

さぞ辛いだろう・・


それに比べたら私なんて・・


努めて明るく振舞おう・・

1日1日感謝して生きよう・・

残される家族に良い影響を残そう・・



だから私は笑うことにしたんですビックリマーク



銀座の治療の帰りは3人でご飯して

娘が行きたいところに皆で立ち寄って・・


ほら・・私、居なくなるでしょ

この2人が仲良くしてくれないと・・


娘と父親って微妙じゃないですか・・

だから今のうちに・・




Mさんは、茶目っ気いっぱいの笑みで

締めくくってくれました