先日、治療を終えたAさんに呼び止められました
「岡田さん、私この間、のど自慢に出たんです 」
えっ、のど自慢って日曜昼の?
「はい、そうです」
ええ~~すごいですね
で、何を歌ったんですか?
「ふふっ、○○です・・
ちょっとはじけちゃいました
ここの治療のおかげで、髪の毛も抜けず
地毛でテレビに出られたんです
すごい嬉しくて
ステージ上で岡田さ~~んって叫んじゃいそうでした
今年は病気が見つかったりで大変な1年だったけど
そんなこともあってか、テレビに出られて・・
本当に嬉しかったです」
その映像を
Aさんが帰った後、早速見てみました
家族と一緒に出場していたAさんは
元気で明るく、歌い踊り
私が院内で会っているAさんとは別人です
何度も目を凝らしてみてみました
顔はAさんです
声もAさんです
なのに、私の知っているAさんではありません
そうです、私の知っているAさんは
患者さんのAさん
そこに映るAさんは
「患者さんではないAさん」
患者さんでないAさんに、素敵な家族がいて
テレビに出るために、歌や踊りの練習を仲良く行い・・
映像を見ながら涙がこみ上げてきました
胸が熱くなりました
24時間 「患者」である必要はありません
「患者」であることを意識するのは、治療の日だけで充分です
願わくは、「がん患者」であることを忘れた日常を送ってほしい・・
のど自慢に出ているAさんを見て、改めてそう思いました
素敵なAさん家族に乾杯です