2014年4月23日の朝日新聞朝刊に


「がんと診断後 自殺リスク増」 という見出しの記事が

掲載されていました。


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がんと診断された患者が1年以内に自殺するリスクは、

診断されていない人の約20倍とする調査結果を

国立がん研究センターがまとめた。

研究班は、診断直後に適切なケアをすることが

重要としている。


研究班は約10万人を20年間追跡調査した。

この間に自殺した人は561人

自殺の可能性もある外因子で亡くなったのは755人

この内、1年以内にがんと診断されていたのは

自殺が13人、外因子が16人だった。


がんと診断されていない人と比べた場合、

診断後1年以内の患者が自殺するリスクは23.9倍

外因子のリスクは18.8倍高かったとしている。


担当した研究員は

「海外の研究でも診断直後は自殺のリスクが

高まる傾向がある。

診察から1年間は、治療によって生活が大きく変化し

ストレスが強まる。

心理的なケアのほか、就業対策など社会的な支援をする

必要がある」と話している。


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この新聞記事をよみ、ある2人が頭に浮かびました


がんと診断され、セカンドオピニオンに来院された2人です


2人は、がんと診断され、担当医と今後の治療の面談を行いました

その内容は「面談票」という用紙に書いてありました

当院にセカンドオピニオンに来院された時に持参されました


2人の「面談票」を紹介します




Aさん 80代 女性 <面談要旨>


 1、胃がんです.


 2、腹水、リンパ節転移の状況からステージ4であると

   考えられます.


 3、ご年齢、病状から、手術は不能です.


 4、今後、症状に合わせた治療を行いますが、

   抗がん剤などのがんに対する治療はできません.


 5、食事が摂れなくなったりした場合には

   入院していただきます.




Bさん 70代 女性 <面談要旨>



 A : 手術だけで治る人 30~50%くらい

 B : 手術だけでは治らないが、追加の治療をすると

     治る人 5~20%くらい

 C : 何をやっても今の医学で完全に治るのは

     難しい人 AとBの残り



 ・Bさんがどこに入っているか誰にもわかりません


 ・再発した場合、完全に治すのは難しい


 ・再発した場合は、このがんでいつか亡くなってしまう

  可能性が高い


 ・完全に治すチャンスは一度きり


 ・ここ(B:手術だけでは治らないが、追加の治療をすると

  治る人) に自分が入っていると信じて治療するのは

  いかがでしょうか?




Aさんの面談票はPC入力した文字で、全て下線が引いてあります

箇条書きしたそれぞれ最後に「.」がついています


出来ないこと・マイナス面を強調した面談票です

とても冷たく感じます


主治医氏名の下に 病院名と

~病院の理念 みんなでやさしい明るい医療~と印字されています


理念が空々しく感じます




Bさん面談票は、先生の手書きです

丸みを帯びた文字です

ABCの比率をグラフで示してあり、矢印をつけ

ここに自分が入っていると信じて治療するのは

いかがでしょうか?」 と 強調しています


怖いことを伝えながらも

不安を強調させないような

先生の心配りが伝わってきます

温かい文面です






がんと診断され、治療方針を面談票でもらう・・・


あまりにも冷酷・冷淡な面談は


患者さんが自殺を考えたくなる一瞬なのかもしれません