当院は、副作用のほとんど出ない「がん治療」を行っている関係で

ご高齢の患者さんも多い


ある日の予約表を確認すると、80代の方が4人・・

皆、ご家族といっしょに来院される



Iさんは80代の女性、肺がんの患者さん

当院での治療はもうすぐ5年になる


当初はシルバーカーを押しながら歩いて来院

通院の帰りに、有楽町近辺のアンテナショップで

地方の名産を買うのが楽しみと言っていた


数年前に圧迫骨折をした

外出時は車椅子を使うようになった

陽気だったIさんの表情が、徐々に無くなっていく

「老人性うつ」と診断されたと・・


家の中だけでは刺激が足りないと

ケアマネさんと相談し、デイサービスに行くようになった


ショートステイも利用する

デイサービスに行くとたくさんの方とおしゃべりが出来て楽しいと教えてくれる


「がん」の進行はゆっくりで

ずっと2週間に1度の治療を続けている


年齢とともに、「物忘れがひどくなっている」と家族が言う

診察室での会話は成立しているが、やはり表情が乏しい


息子さんが

「今日は特にひどいです・・自分の名前を旧姓で言っています

私のことは?聞くと、息子だということはわかるらしいのですが

名前がわからないといいます・・・」とかなりショックな様子


点滴室でIさんと話をすると

「もうおバカで、みんな忘れちゃうの・・」と言いながら

若い時に働いていたことを昨日のように話す・・

その日のIさんは、結婚前のIさんになっていた



今も2週に1度「がん治療」に来院されるIさん


三好Drは言う

Iさんは「がんでは死なない」と


それは、「がん」を発症しながらも、共存しながら生きていき

寿命を全うする ことを意味している


そう考えると、高齢者にとっての「がん」は

特別な病気ではなくなる



Iさんはじめ、当院のご高齢の患者さん達が

デイサービスに来るように来院され

治療をしながら、先生や他のスタッフと会話をし

それが良い刺激となり、笑顔で帰っていただけるよう


来週もがんばろうがんばるがんばる