先日、約4年ぶりに患者さんが来院されました


Sさん・・ 50代の男性・脳腫瘍の患者さんです


4年前までは定期的に、当院脳外科 丸山Drの外来を受診し

治療を行っていました


いつも奥様と一緒で・・

ゆっくりと身体の麻痺が進行していました


不安が強く、点滴治療中何度もベッドサイドに呼びつける・・

イライラが強くなるSさんと

来院するたびにやつれていく奥様・・


4年前のある日、疲れきった顔で待合室に座っている奥様に

「大丈夫ですか?」と声をかけました


すると

「離婚することを進めているんです

もう無理です・・いろいろと限界で・・」


堰を切ったように次から次へと言葉がが溢れ出て

「限界である」ことが全身から伝わってきた


それから来院は途絶えた・・



数年後、Sさんは都内で両親と生活し

奥様は地方都市に住み、大学院に通い

新しい人生を切り開こうとしていることを聞いた



そして先日、奥様から相談の電話を受けた


都内で高齢の両親と生活しているSさんだが

主介護者である母が入院し

自宅での生活が困難になってしまった


介護保険の利用を考え、申請に行ったら、

かかりつけ医に「指示書」を書いてもらう必要がある

特定疾病の診断名を書いてもらう必要が出た

丸山Drに書いてほしいと・・


当院の最終来院は4年前・・

ここ最近の主治医に書いてもらうべきでは・・と話をすると


この4年間、医療機関を受診していません

「どうせ治らないから医者には行かない」と

自宅で、ほぼ引きこもり状態になっている

身体の麻痺は進行し、生活全てに介助が必要な状態であるが

無理をすれば車いすでの外出は可能と


驚きました・・

ゆっくりと進行する病気とはいえ

4年間も医療機関を受診してなかったとは・・


特定疾病名を書けるのは4年前の主治医である、丸山Drしか居ない・・

4年ぶりに来院してもらうことになりました


身体の麻痺は進行するも

頭はしっかりされ、引きこもっていたことや

自暴自棄になっていること

誰かの手を借りないと生きていけないこと

丸山Drとの会話はテンポよく成立し

介護保険の指示書はスムーズに完了した



その後、奥様だけの相談時間を少し設けた


帰りがけに

「離婚されたんですか?」と尋ねると


「そのつもりで話を進めていたのですが

 籍はそのままになっています

 私の生き方を応援したい・・がんばってほしいと

 私に生命保険を残したいそうです」



 Sさんの「愛」   奥様から聞いてしまいました