痛い顔を想像してみてください・・


眉間に皺が寄っていて

口をキュッと結んでいて

こわばったような

もちろん、笑顔では無い・・


痛みがあると、顔に出ますしょぼんむっ


私たち医療機関のスタッフは、患者さんが来院した時の顔を見て

調子が良いか悪いかを察します


来院時の表情、雰囲気(全身オーラ)から察し

緊急扱いで診療の順番を繰り上げたり

待っている間、酸素を使ったり、横になってもらったりもします                                                                       


ことわざでは「目は口ほどに物をいう」と言いますが

私はあえて 「は口ほどに物をいう」と使います


日本人は我慢することが美徳と考える風潮にあります(特に男性)

痛みを訴える患者さんに医師が薬の話をすると

 ・このぐらいは我慢できる

 ・まだ薬に頼りたくない

 ・もう1週様子をみたい

 ・薬が増えるとそれだけで具合が悪くなりそう・・

 ・動かなければ大丈夫だから・・

 ・家でじっとしてるから・・


これらは、以下のような負の連鎖を発生させます                                                                
                                 


痛みが出る→ 我慢する→ もっと痛くなる 

 <①身体面でののマイナス>

   行動範囲が狭くなる→外出が減る、室内でいることが多くなる

    →足腰が弱くなる→歩けなくなる→通院できなくなる→治療打切り


 <②精神面でのマイナス>

   痛みで夜眠れない→悪いことを考える→気持ちが滅入る→食欲が無くなる

    →体重が減る→体力が衰える→通院できなくなる→治療打切り

 

 <③家族全体でのマイナス>

   痛がっている患者さんを見て、家族がオロオロ

   家族中が患者さんの顔色をうかがい、ピリピリ・・

   何もしてあげられないと、家族が落ち込む

   家族中から笑顔が消える


これらを解決する方法はただ1つ

「痛みを我慢しない」 ことです


がん患者さんの痛みに対しては

「WHO式がん性疼痛治療」に則した方法での治療を行います 


①痛みの程度、間隔など、話を十分聞いた上で処方を開始します

②痛みの程度により、薬を調整していきます

③一般の鎮痛剤でコントロール不十分の時には医療用麻薬を用います

④痛みが無くなるまで薬を増やしていきます


「医療用麻薬」と医師から話が出ると、多くの患者さんは

  ・もう末期の末期ですね・・

  ・「がん」がそこまで悪くなったんですね

  ・中毒になりませんか?

  ・麻薬は体に良くないですよね?

  ・無言・・・で、がっかりした様子

となります


でも当院では、「めざせ24時間痛み無し」を目標にしますと説明します

なぜならば、前述した負の連鎖を発生させないためです


痛みが出た→我慢しない→薬を使う→痛みが軽減した

  ・従来の生活が送れる→仕事や趣味も従来通り出来る(生きがいの継続)

  ・外出できる→交友関係が継続する→孤立しない

  ・眠れる、食欲落ちない→体力落ちない→通院治療の継続が可能


患者さんが納得し、不安なく疼痛治療を行うために

当院ではオリジナルの説明書を使っています

            ↓
 
診察室の外でのはなし・・・-DCIM0069.JPG

痛みが少しでも軽くなるよう、ピンク色(暖色)を多く用いています

そして、私たち女性スタッフも「ピンク色」の白衣ナースを着用しています



「痛い顔」 が 少しでも 「痛くない顔」になるよう

医師は薬を・・私たちはその他の部分での支援をしていきます



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「WHO式がん性疼痛治療」が良くわかるサイトがありました

JPAPウェブサイト

http://www.jpap.jp/pain/02.html

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