今週、93歳の男性の家族より相談がはいりました
食欲が落ち、貧血状態となったため近くの開業医受診したところ
すぐに大学病院紹介となり、大学病院で精密検査おこなった
大学病院での結果説明で、胃がんの末期でもう何も出来ない
開業医のところに戻るようにと言われた
本人には未告知
開業医に戻り、食事も摂れないし、ふらふらして歩けない
どこか入院先紹介してくださいと言うと、1週間後に来てくださいと
最低限の薬を処方された
1週間後に、先週お願いした紹介病院は?と聞くと
自分で探してくださいと言われた
突然、がん末期と言われ、80代の妻と二人暮しで、自宅介護も難しく
早々に入院させたいがどうしよう・・・
まず、息子さんが相談に来院された
やはり、この状態は末期で何も出来ないですか?
出来ないのなら家族としては、近くの緩和ケア病棟に入院させたい
1日1日衰弱し、自宅に居られるのも時間の問題・・
今まで「がん」と告知していないけれど、必要なら告知します・・など
岡田が呼ばれ
患者さんの自宅近くの緩和病棟探して! と
まず当院の患者さんが何人もお世話になったN病院に電話をすると
緩和が大変混んでいて初診で1番早いのが9月末と・・・間に合わない・・
次に患者さんの自宅から歩ける距離のM病院
8月6日の初診面談に入れるかどうか・・
次に当院の患者さんの実績もあるT病院
8月末が初診外来・・
最後に6月1日に緩和ケア病棟をオープンしたばかりのM病院
差額の部屋なら1~2あります。差額でも大丈夫ですか?と
OKと伝えると、まずFAXで情報を流してほしい、その上で
入院審査をかねた面談日時をお知らせしますと
実は、その前に問題があった
患者さん自身、今まで医師に告知をされていないのである
緩和ケア入院には
・告知されている
・積極的な治療を望まない
・延命処置は行わない
この3つの条件を全てクリアしなければならない
息子さんとの面談で、誰が告知をするの?ということになった
息子さんは、突然家族が告知をするのはおかしいので、先生にお願いしたい
告知をしないと、先に進めないので・・ということで
同日夜、本人を含む親族に集まってもらい、告知することになった
はじめまして・・と三好医師があいさつをした先には
車椅子の患者さんとその妻、長男、そして先ほどの息子(次男)の
計4名が来院していた
体調を伺ったりしながら、画像を見せ、病気の説明をしていった
食べられない理由、力が出ない理由などは、ここに「がん」があるから
など、三好医師は話をしていっている
93歳でも、頭はしっかりしている
告知はしていないけど、なんとなく知っているかも・・と
事前に家族から聞いていた
私も同席し、本人の様子をみていたが
先生の言葉に「あ~そうですか」「そうですか」と
きちんと反応が返ってきていた
ひょっとしたら、自宅で家族がばたばた動揺している様子をみていて
実は察していたのではないかと思った
そして「もう93歳で十分生きましたから」と・・・
入院の方向性が固まり、あとは早く入れるところに入る
その間は、在宅を検討すると結論を出し、長い1日は終了した
翌日、ベットが1~2空いているというM病院から
初回面談の日時連絡が入った
「7月31日に来院してくださいと、患者さんに伝えてください」と
ベットが空いていても面談は約2週間先
実際の入院は、そこからどのくらい先になるのか・・
これが数少ない緩和ケア病棟の現実です
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当院で治療している患者さんは
地元の緩和ケア病院やその他入院できる施設を各自確保しています
それが、当院で治療を開始する条件になっているからです
NPO日本ホスピス緩和ケア協会が
「ホスピス緩和ケアを受けられる場所のご案内」を提供しています
http://www.hpcj.org/uses/index.html
近隣の情報を知っておくことはとても大事です