クリニックが開院して、丸6年が過ぎました
非常勤スタッフも含め総勢10人の、ごくごく小さなクリニックですが
がん治療、緩和医療を行っているうちに
当初は考えていなかったことが、クリニックレベルで行えるようになっています
①輸血
血液製剤を扱う日赤が、緊急便も含め対応してくれます
そして、本来院内の検査室が行う「クロスマッチ」という作業を
委託している検査会社が緊急便も含め対応してくれます
特に検査会社は、1日に2回も回収してくれ(通常は1回)
その他に緊急回収も対応可
おかげで、輸血をはじめ、黄疸・電解質異常など、緊急度の高い患者さんに
スピーディーな治療を提供することが出来ます
②腹水濾過濃縮再静注法(CART)
がんなどによって溜まった腹水を取り出し、
濾過器で細菌やがん細胞等を除去した後、さらに濃縮器で除水を行い、
アルブミン等の栄養分を点滴で再び体内にもどす治療法です
http://ginzanamiki-clinic.com/cart.html
該当する患者さんが出ると、委託している業者さんに連絡し
予約日に機械を持ってきてもらい、上記作業を行います
業者さんは多くの医療機関から受託しているとのことですが
どうしても・・の時には、朝いちの予約時間の前なら・・と
緊急対応してくれます
③院内酸素・在宅酸素
開院当初は、院内に緊急対応用の酸素ボンベを1本だけ在庫していました
今は、7本・・
院内に酸素ボンベを7本も置いてあるクリニックは無いと思います
そして在宅酸素
通院時の患者さんの呼吸状態や、患者さん本人の呼吸苦の訴え
自宅での状態を勘案して、医師が業者さんに指示を出し、
自宅に酸素を導入します
時には、治療が終わる帰宅時から酸素が必要な患者さんも出
その場合は、患者さんの点滴が終わるまでに至急で携帯用ボンベを
持ってきてもらいます
あの2011.3.11の震災の日、地震直前に至急の依頼を出していました
業者さんは、地震で動かなくなった道、
そして当ビルのエレベーターも止まった中
汗だくで7階の当院まで、携帯用ボンベを抱えてかけつけました
また別の日、一人暮らしの患者さん宅に酸素設置の依頼を出したところ
設置の帰りに立ち寄り、報告を受けました
「家の中が足の踏み場もないくらい散らかっていて、
食事も自力では難しいのでは?気になったので立ち寄りました」と
患者さんは、先生の前では「全然大丈夫!」と強がる傾向にあるため
次の来院時、点滴中に私が世間話をしながら
自宅で困っていることを聞きだすことになりました
「離れて暮らす娘には娘の家族がある。迷惑かけたくない一心で強がっていた
ただ、このところ体力が落ち、呼吸も苦しくて家事をする気力もない」と・・
同意を得て娘さんに話をし、介護サービスを導入することになり
酸素業者さんが心配した状態から脱出することができました
人間関係が希薄になっているといわれている昨今ですが
対業者さんも、つまりは 「人:対:人」
クリニックの治療は、スタッフだけでなく
多くの業者さんの「人」によって支えられています
業者さんも私たちのチーム医療の一員です
今後も、どんどん捲き込んじゃいます