ある患者さんが点滴している部屋に、調子はどうですか?と顔をだしてみた

すると、「太っちゃってね~ 食べすぎ・・・」と

確かに頬がふっくらし、若々しくなった・・

良かった良かった・・



その方は、発症から経過の長い患者さんで

遠方から一人で通院する、しっかりした女性

当院とのお付き合いは1年弱

痛みが出現し、腫瘍マーカー↑、画像でも腫瘍が大きくなっていた・・

痛みで熟睡できない・食欲がない・食べる量が減る・当然気持ちは↓↓


三好医師から、腫瘍のボリュームを小さくする目的で

血管内治療の提案があった

患者さんは「考えてきます」と言って診察室を出た後

点滴をしながら、私と世間話をした


「家族が一生懸命だから、私もがんばって治療をしなくちゃいけないんだけど

なんか疲れちゃって・・・だって○年も病院通いしてる・・

もう余命宣告からは過ぎてるからいいんだけど、でもね・・

この痛みさえなければね~~

でも薬はなるべく飲みたくないし・・・」と時には涙を流しながら話を続ける


私は、そうだね~~と相槌をうちながら、患者さんの呟きを聞いていた

ひたすら聞いていると、患者さんは最後に

「痛みをとるには、腫瘍のボリュームを減らさなくちゃいけないから

やる前提で家族に話をする」と自身で結論を出していた


すごい・・さすがに経過の長いサバイバーの患者さんである


その後、数回の血管内治療を併用した結果

腫瘍のボリュームが縮小し、腫瘍マーカーも減少し、痛みも無くなった・・

そして、食欲が戻り太ったと・・・


患者さんが言う 

「人間って欲張りだね~~

あの時は、この痛みだけが無くなればいいのに・・とその1つだけ思っていた

それが、痛みが取れるともっとしゃきしゃき歩けるといいのに

少し太ると、こんなに太っちゃった・・って思う

だって、痛みがとれればそれだけでよかったはずなんだよ・・」と


人間は欲張りである

ご高齢の方が「あと5年は生きたい」と言う

1年経っても「あと5年」と言い、あと4年3年と決して減らない


欲がある = 生命維持の根源なんだと思う