皆様、お久しぶりです(*´▽`*)
そろそろリクエストを本気で消化していかなきゃヤバいと思ったんですよね(笑)
過去の小説を書き直している場合ではないんですよね!すんません!
ゆんさんからのリクエスト!
激甘希望されました!名前は ゆん でいきますよー!
3Z設定でいきます♪
学校の廊下。私は生唾をごくりと飲み込んで、目の前の人物に問いかけています。
「ぎ、銀八先生ってどんな女の子が好みなんですか?」
全身に緊張を走らせながら、白衣を纏う銀八先生にそんな質問を。
我ながらに好意がばればれの質問。
けれど、気づいてもらうには十分な質問でもあります。
先生は私の質問を気だるそうに聞いて、気だるそうな目をしながら、気だるそうに答えます。
「胸が大きくてー、いじらしさがあってー、ちょっとえろい」
「………………」
先生らしい答えだと思いました。思いましたけれども、ねえ。
それを生徒に返答する先生ってどこを探しても銀八先生くらいだとしか思えません。
「おとなのじょせい……」
「まーね、おかずにしたいよね」
「……先生、私のこと女だと認識してます?」
いや普通に考えてね、普通の男性や大人としてね、私のように幼気な少女にそんなこと言いますかと。
たとえ女性として”意識”されなくていいから”認識”くらいはしてほしいですよね。
「”生徒”としてなら、愛は注ぎまくってんぞ。不満か?」
「………………」
「あのねぇ、銀さんがいい男なのは分かるよ。分かるけど、お前も俺の職業分かってんだろ?」
「……」
でもね、それでもね、やっぱりね、好きなんですよ。
私は銀八先生のクラスの生徒で、今年18歳の学生です。
そんな私は、まんまと先生に心を奪われていたのですよ。
銀八先生はあの気だるそうな目つきで、生徒のことも先生たちのこともちゃんと把握しているんですよね。
突き放すようにしても、優しいんですよね。
大事なことを気づかせてくれるんですよね。
ちゃらんぽらんに見えても、銀髪でも、やるときはやってくれますよね。
立派な大人じゃないかもしれない。
立派な教師じゃないかもしれない。
でも話すうちに惹かれていったんですよ。
優しい笑顔が大好きで、仕草もどんな表情も、見るたびにドキドキするんです。
「……あー、えっと、大丈夫?」
「え?」
「いや、想像以上にしけた面しやがるし……」
そう言って苦笑いした銀八先生。
好きです、好きなんです、先生。
先生は私を振る気なの、すごくよく分かります。
なのに冷たくはしないで、優しくしてくれちゃうの、なんでですか。
気づいたら私は本当に寂しい顔をしていたようで、感極まって泣きたくなってきた。
「え、えっと、あー悪い悪い、だーもう、お菓子あげるから!」
そう言って焦っている先生を見たらなんだか、笑えてきちゃう私です。
私のこと心配して焦ってるのに、すごく失礼でしょうけれど。
でも、すごく嬉しいってことは隠せないんだってことです。
私は小さく笑って「お菓子ください」と言って見せます。
ちょっとだけでも、先生と居れるなら振られてもいいや、なんて開き直ったりして。
先生はやれやれと言った感じで、私を国語準備室まで連れて行きました。
*
「レロレロキャンディーとせんべいと……、あーっと……ココアシガレットとー……」
「……」
国語準備室に到着して数分。
彼の机の引き出しにはたくさんのお菓子が詰め込まれていて、なんとも驚いてしまいました。
――この人、思った以上に甘党です。
「クッキーとかどうよ?」
「え、あ、はい、頂きます」
私は机から取り出された可愛らしいクッキーを手渡されました。
ふっと笑って、先生は先生で飴を封切って食べ始めます。
私はもう用もなくなってしまったので踵を返しかけたとき、先生は私の方をちらっと見て言いました。
「あ、ここで食ってけ。生徒にお菓子あげる俺はかなり貴重だよ? 誰かに知られて誤解されたら困るからね?」
「…………………………」
私にわざわざそう言うのは、”私”に誤解されたくないからだと、そう理解しました。
――”誰か”でなく”私”なんでしょう。なんて流石に疑り深すぎますかね。
そう言った彼は、近くにあったイスにどかりと座って澄まし顔で近くの本に手を伸ばしています。
――なんとも複雑です。
先生は生徒と恋愛する気がないのは分かります。
期待させないために、わざとそう言って見せたのも痛いほどわかります。
「先生」
「……」
だから、私は呼びます。
「銀八先生」
「……」
何度だって呼びます。
無視されても、一度もこちらを見てくれなくても、私は言います。
「好きです」
一度でも言っておきたかったのです。報われない恋だとしても伝えたかったのです。
たとえこれから無視されたとしても構いません。
私は前に進みたいんです。あなたを諦めることも前進するきっかけかもしれません。
それなら私は、伝えてから諦めたいのです。
「あのなー……ゆん」
「好きなんです」
「ゆん……もう言うな」
「好きなんですよ、先生」
「ゆん、もう言うなって」
今日、初めて名前を呼ばれました。
されど目の前の彼は困った顔をしています。
眉を下げて、口端を上げて、苦い笑いを見せていました。
大丈夫です、大丈夫なんです。
覚悟を決めて言ったんです。
面倒くさがってください。
もう私に笑顔を見せないでください。
優しくしないでください。
いっそのこと嫌いになってください。
気づけば私は半泣きで想いを伝えていました。
――泣いてはいけない。これ以上彼に迷惑をかけられない。
だからせめて彼の言葉を聞かせてください。
聞いたらすぐにこの部屋を出ていきますから。
すると彼は私の目の前までゆっくり近づいてきました。
驚きに彼を見上げると、彼は少し焦ったような表情で私を見下ろしていました。
なんでこんなに近くに来てくれているの、なんて思ってしまいます。
私は込み上げる嗚咽を抑えるために再び俯きました。
そして私の耳に彼の言葉が響きます。
「泣くなって、やめてくれって、俺だって必死なんだ」
「……」
「お菓子やれば泣かなくなるわけねーよな、小学生じゃあるめーし」
「……ごめんなさ……」
「好きな女が泣くのは、見てられねーんだ」
「えっ」
その言葉に顔を上げた私。
一瞬見えた彼の顔はすぐに見えなくなって、その代わりに耳元に顔が近づけられました。
反射的に私の体は緊張して硬直状態になります。
「俺ね、かなり我慢してたんだぜ?」
「あ、あの、先生……?」
背中に腕を回されて私は彼の両腕に抱きしめられていた。
「聞いてくれ。俺は、お前のこと好きだ」
「で、でも……」
ぎゅうっと力の入った腕。
私は大好きであった彼に抱きしめられているという現実を半ば受け入れられず、されるがままの状態にあります。
耳元では彼の声がすぐ近くで響いてて、震えるほどに近い彼の吐息を感じざるを得ないのです。
「やられちまったよ、ははっ、まさか俺が根を上げさせられるとは思ってなかったわ」
そう言って彼は可笑しそうに笑ってそう言ってます。
表情は分からないけれど、彼にしては本当に可笑しそうで、私はただただ聞いていることしかできませんでした。
「ずっと、抱きしめてェキスしてェ、って思ってた」
――本当ですか。
「俺は先生なのに、ダメだなこれじゃ」
――先生、私のこと好きなんですか。
「胸はねーし、いじらしいところなんて見たことねーし、明らかに清純って感じだし、俺の好みと真逆なのによ」
そう言ってまたククっと笑います。
「む、胸見ないでくださいよ……!」
私は一瞬の恥じらいに耐えられなくて、そんな抵抗の声を上げてしまいました。
「はは、じゃあ触っていい?」
「だめです! 何言ってんですか!?」
―――こんなやり取り、することなんてないと思ってたのに。
予想外の出来事に私の頭はくらくらしはじめていました。
すると彼は顔を上げて、再び私を見下ろします。
「んー……赤くなった顔、見たかったんだよ」
「な、なに言って……んっ」
確かに熱くて暑くて仕方なかったけれど、そんなに赤かったかな、なんて。
唇には何かがあてられてて、すぐに彼の唇だってこと簡単に分かって。
彼は瞳を閉じて、私にキスをしていました。
突然の出来事。私は少しの間、思考停止しています。
すぐに唇は離されて、彼は私の顔を見て微笑みます。
「責任取ってくれる?」
「え……」
「惚れさせられちゃった、お前に」
「先生……」
「名前で呼んでくんね?」
「……銀八先生?」
「銀八でいい」
そして彼はもう一度私に唇を重ねます。
今度は深くて長い、大人のキスでした。
彼の舌が入ってきたとき、私の舌は驚きで固まってしまいました。
「下手、舌の力抜け」
「んっ……ぅん……ッ、ふッ……んんぁ……」
言われた通り舌の力を抜いたら、彼の舌をさっきよりも感じます。
――先生、先生。
ただただ頭の中では、唱えるようにつぶやき続けて、溶けそうになる思考回路を必死に繋ぎ止めます。
舌ざわり。先生の舌が私の舌と絡んで、唾液は絶えず、いやらしい音さえも。
それが嫌ではなく、むしろ愛しいと感じています。
――いつまでもこの時を感じていたい。
そう思った矢先、唇は離されます。
回された腕も解かれ、彼の白衣が揺れています。
「ゆん」
「……うん?」
「冷たくして、悪かった。我慢できなくて色々しちまって、悪かった」
今度の彼の表情はひどく焦った表情でした。
冷や汗も混じり、なるほど我に返ったのか、と思わせられました。
「謝らないでください」
「だがな、俺は先生っつー建前があってだな……」
「私は先生が好きなんですよ」
「あのな、俺はまともな大人じゃねーって自覚あるし、生徒にだけは手ェ出さねーって決めてたんだ。こんな俺が、お前を大切にできるわけがねーんだよ」
「そんな……こと……」
私が思ってたよりも、先生は思い悩んでいたようです。
自分を責めている彼の表情は本当に辛そうで、あまりにも悲壮でした。
私のことをこんなにも想ってくれていたなんて、私としたらとても申し訳のない話です。
「先生」
「ん?」
「私は、失恋するつもりで想いを伝えたんです」
「……」
「でも、先生は受け入れてくれたんですよね」
――さまざまな葛藤の中で、私を選んでくれた瞬間があったんですよね。
それなら、
「私はいつまでも待っていますから」
「……おまえ、本気?」
「卒業するまで、ただの生徒でありますから。だから、待っていてもいいですか?」
「……」
「そのときまで想い続け会えていたら、そのときに」
――私を彼女にしてください。
言うが遅いか、そんなことを言ってしまった自分を恥ずかしく思ったりもしました。
けれど、これが今の私の精一杯なんです。
これが、私たちの最善策だとしか思えないんです。
「上等だよ」
彼はやっと吹っ切れた顔で、私にそう言いました。
たとえ気持ちが揺れてしまっても、想いが通じ合ったこの瞬間は忘れることはないでしょう。
そして彼は悪戯っぽく笑って、こう付け足しました。
「魔が差したら、またここに呼ばせてくれや」
終わり
久しぶりに書いただけあって、なんとも言えない方向に話が収まりました。
こんな優しい銀八先生を私は求めていたのかな、なんて。
銀さんは本当の本当の根はすごく優しい人なんだって、思っています。
まっすぐな芯を持った彼に想われたいです。
ゆんさん!素敵なリクエストありがとうございました☆
それにしても長かったです……(笑)
激甘というか、個人的に切甘っぽくなってしまった印象が強いです。
でもやっぱり切なさがあると、甘さがより甘く感じると思うんですよね(言い訳
では読んで下さった方々もありがとうございました☆
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