一昨日

11月11日は

もうきっと

一生に二度は

ないだろうという

とても晴れがましく

光栄なライヴ・イベントに

参加させていただき

貴重な体験をすることができました。

 

 

 

 

それは

そのタイトル通り

半世紀も前

1972年にスタートした

ベルウッド・レコードは

それまでの

日本の歌謡曲にはなかった

新しい息吹を吹き込み

その後の

日本の音楽シーンに

大きな影響を与えた

アーティストを

多く輩出した

画期的なレーベル

昨夜は

そのレーベルを彩った

すばらしい

ミュージシャンたちが

中野サンプラザに集結して

3時間にわたる

歴史的な演奏がくりひろげられました。

何度も語っていますが

僕がこの世界に入ったのは

このベルウッド・レコードの門から

当時ザ・バンドみたいな音楽を

日本語でやれないかなと結成した

ごまのはえというバンドの

「留子ちゃんたら」というシングル盤が

僕の出発点でした。

その当時僕が好きだったザ・バンドの

ロビー・ロバートソンをきどって

曲は作りアレンジもして

ギターは弾くけれど

歌は歌わないということにしていたので

このシングルのヴォーカルは

僕ではありませんでした。

ですが

このイベントへの出演依頼を受けたとき

この大きな節目のイベントで

僕自身が原作者として

歌わないでは終われないと思い

多くの聴衆の前で

はじめて自身で

この曲を歌うことに決めたのでした

この曲は

それまでは洋楽ロック命だった

サウンド志向な僕が

日本語で作ろうとした

ほとんどはじめてに近いオリジナル曲

意味に重心を置いて作ろうとすると

どこかべたついてロックのビート感がなくなるので

どうしたもんかと悩んでいたとき

はっぴいえんどのファーストで聴いた

松本隆さんの

グルーブを壊さず

リズムを生かした言葉の選び方に

強く刺激を受けて

まずは意味に縛られず

思いつく響きの面白い言葉を

連ねて行って作ってみようと

作り始めた

まさに実験的な作品が

この「留子ちゃんたら」でした。

こんな奇妙な曲のタイトル

そしてバンド名をつけたのは

あの当時まだフットライトが当たってなかった

関西ロック・シーンにいて

なんとか注目してほしかったことから

音楽的にはザ・バンドみたいな

アメリカン・ルーツ・ロック・サウンドを目指していながら

え?なに?この名前は?という

あえてそのギャップを狙ったものでした。

今思えば

何を考えていたのか。(笑)

そんな曲を今回

一緒に演奏してくれるのは

なんと僕より一世代若いミュージシャンたち

リハーサルをするまでは

果たしてうまくノリが合うだろうか?

とても心配でしたが

それはただの杞憂に終わりました。

彼らの

原曲のフィーリングを生かしながら

さらにコンパクトに要素を凝縮した

現代的なアレンジと解釈のおかげで

うれしいことに

「今」の音楽として

生まれ変わっていたのでした。

いいぞ!!これは!!

と油断をしたのがいけなかった

期待にふくらんだ

いよいよ当日

僕の出番は第2部

なぎら健壱さんに続く二番手

いろんな思いを胸に

勇んで歌おうとしたら

どうも気負いすぎていたせいなのか

うっかりカウントを出さずに

イントロのギターを弾き出しちゃったので

バンドが入ってこれず

二度もやり直してしまいました。

おお、なんたるトラジディ!!

なんとかMCでつくろって

三度目のトライではじめることができて

そこからは

なかなかいい演奏ができて

とりあえずはよかった!!

とにかく高田蓮君や坂田学君たち

若手バンドの演奏はすばらしかったのに

迷惑をかけちゃった

こまったちゃんのベテランで

まことにスマンの涙でした。

そしてもう一曲は

僕が東京に出てくるきっかけをくださった

我が師、大瀧詠一さんの

隠れた名曲

大好きな

「乱れ髪」を

歌いました。

まだ大阪にいて

ちょうどごまのはえを始めた頃でした。

ジェームス・テイラーのような

フィンガリングを勉強しようとしてたとき

高田渡さんが米国の出版社で出ていた

フィンガリングの本を貸してくださって

その本からテクニックを習得することができました。

そしてかってシュガーベイブが

山下洋輔トリオと同じ事務所だったとき

交流があったサックス奏者の坂田明さんとは

よくハナモゲラ語でセッションしたことがあったものでした。

まさか

その息子さんたちとこうして

僕のスタート地点だった曲を

いっしょに演奏できる機会を得ることになるとは …

ほんと長生きはするものだ。

いろんな大変なことはあるけれど

人生はミステリアスですばらしい

そして

いろんな出会いをくれる

音楽はすばらしい!!

この日ステージに上がったみなさんにも

それぞれいろんな思いがあったにちがいない

きっと誰にとっても

二度とない特別な

コンサートだったと思います。

つづく