シーナさんとはじめて会ったのは
1987年の暮れ、小林克也さんのお家で開かれた
餅つきの会ででした。

鮎川誠さんとお二人で来られていて
はじめてだったのにとても親しく
お話をしてくださった。

ステージでテレビで見ていた
強面(こわもて)のロッカーというイメージが
裏切られるほどの
やさしさでいっぱいのかたでした。

次に会ったのは90年代に入って
NHK-BSの音楽番組
「BSロック大全集」でのスーパーセッション。

シーナさん、鮎川さん、竹田和夫さん、
つのだ☆ひろさん、吉田建という錚々たる顔ぶれの末席に
僕も加えていただき
クリーム、ジミ・ヘンドリックス、キンクスや
ツェッペリンなどのロックの歴史を作った
カバー曲メドレーをやりました。

日本のロックの一時代を創ってきた
このメンツによる一夜限りのセッションは
それはそれはすばらしいもので
いまでもこの同録テープは大事にとっています。

シーナさんの歌った「You Really Got Me」の
キュートだったこと。

それはまるでロネッツのロニー・スペクターに
匹敵するセンスで
日本でも希有な存在のシンガーだという
印象を強くしたのをいまでも昨日のことのように
鮮明におぼえています。

そのときもたった一度きりしか会ったことのなかった
僕のことをおぼえていてくださって
笑顔で話しかけてくださいました。

生涯にたった一度きりでしたが
シーナさんといっしょに
セッションできたことを
ずっと誇りに思っています。

いまは鮎川さんをはじめご家族のかたの気持ちが
察せられてなりません。
どうか気持ちをしっかりもたれますように。

やさしい気持ちのすてきなロッカーが
またひとり去って行く
切ないですがいまはただ心から
シーナさんの冥福を祈りたいと思います。