温かくゆったりとやさしい時間が流れていた。
22日の風知空知の黒沢秀樹君、初のワンマン・ライヴ無事終了。
黒沢君らしさにあふれた好ライヴ。日本のエリオット・スミスかロン・セクスミスのようだった。

ユニットを組んで1年以上立つと、客席にいてももう他人事のようには気楽に聞いていられない。
身内意識というか、参観日に来た親のような気分。
なにせ黒沢君初の2時間越えのワンマン。スタミナ切れせず最後まで歌い通せるのかとはらはらドドキドキ。ところがそんな僕の思いはただの杞憂に過ぎず、終始マイペースでしっかりとやりきった黒沢君にはうれしい驚きがあった。外見からはちょっと想像がつかないだろうが、心の根っこはけっしてヤワなヤツではなかったのだ。

それでもアンコールが来て、ゴールが見えてきたからか、黒沢君がへにゃへにゃとなりそうな気がした僕は、思わず反射的に「がんばれーっ!」と叫んでしまった。会場にいらしてたみなさん、お騒がせしてスマンの涙でした。叫んだのはまちがいなく僕でした。

性格上、表には決してみせることはなかったが、黒沢君の内面では、けっこう荒波の海にもまれながら、一人でボートを漕いでいるような、大変な思いが錯綜していたのではないかと思う。
たとえどのような思いがあったにせよ、最初の一歩を大きく踏み出したことはもうまちがいがないこと。けっしてまだ遅くはないさ。このはじめの一歩から、神が授けた天性の美声を、自信を持って、思う存分に世界に放射して行ってほしいと願うばかりだよ。



アンコールでのこの曲のカバーがよかった。