12月13日の芦屋のレフトアローンでの「X'mas Sunday's Sunday's with 伊藤銀次 & シグネッツ」、今年も盛り上がりました。これまで以上に多くのお客さんがつめかけてくださって、いつも2階席の奥が僕たちの楽屋代わりのスペースだったのが、そこもお客さんの席にしなければならないほどの盛況ぶり。お忙しい中、ライヴにかけつけててくださった方達、どうもありがとうございました。バンマスの村主さん&サンデーズになりかわりお礼をいわせていただきます。

何度かこの「サンデー銀次」にも登場しているサンデーズは関西のアマチュア・バンドである。えらーいお坊さんの村主さんを中心とするアマチュア・バンド。実はこの「サンデー銀次」の読者であるcobaさんやぶっちゃさんもメンバーだったりする。確か主要メンバーは村主さんも入れるとお坊さんが4 人。おしょうがツーではなくておしょうがフォーなロック・バンドなのである。

バンマスの村主さんは僕の中学の同級生。6年前にほんとにひさしぶりに連絡があって、レフトアローンでクリスマス・ライヴをやっているのでゲストで出てくれないだろうかという打診があった。以前に「サンデー銀次」にも書いたように、村主さんとは小学校も同じ。六年生のときに、学芸会で狂言「ぶす」の太郎冠者と次郎冠者をやった仲である。(もちろん僕は次郎冠者役であった。不思議なことにそのころから「次」なのであったよ。)

なんとなくまあ村主君なら出てもいいなと、1回こっきりのつもりで参加したら、村主君をはじめとするサンデーズのみんなの人柄のよさ、その音楽愛に惹かれて、気がついたらそのまま6年目になっていたのだった。今ではすっかりプロアマを超えたすばらしい音楽仲間たち。銀次がこんなノリなのは実にここだけのできごとなのだ。

いつもこのライヴのフロント・アクトは、僕を内田樹さんに紹介してくださった、美容師の光安さん率いるシグネッツ。今回は相当気合いが入っていた。かなりみっちり練習してきているのがよく伝わってきた。選曲は佐野元春90%に山下達郎が10%という配分。歌う人が変ると、もともとの歌本来の持っている魅力が裸で見えてくるのがおもしろい。光安さんの歌で「レイン・ガール」の曲のよさがさらによくわかった。





ただ光安さんはこの日体調を崩されていて、点滴をうっての歌と演奏。そんなことを微塵も感じさせないガッツのある歌いっぷりだったが、あの後、大丈夫だったんだろうか、ちょっと心配である。早くお元気になられるように祈っています。



なんとサンデーズのオープニングはアヴェレージ・ホワイト・バンドの「Pick Up The Pieces」。
僕も大好きな曲でうれしい。10CCの「I'm Not In Love」といい、今回の選曲、なかなかカッコよくてナイスだが、ずいぶんとむずかしい曲を選ぶものだ。





サンデーズのレパートリーは実に幅広い。けっこうむずかしい選曲もあるのにそれがなんとなくやれてるのは、秘密兵器のおかげなのだ。
さっきアマチュア・バンドと書いたが、実はひとり、元プロのミュージシャンだった強力な助っ人がサンデーズのメンバーにいるのだった。それはベースの秋月さん。
なんと安岡力也さんが在籍したグループサウンズ、シャープ・ホークスのベーシストだった人。その秋月さんがおられるだけで、そんじょそこらのアマチュア・バンドと一味ちがう、バンドの「歌ごころ」みたいなものが生まれてくるのだった。その「歌ごころ」の存在も、僕がサンデーズと演奏したくなるひとつの要因かも知れない。

そんな秋月さん、半年ぐらい前にお会いした時は体調を崩されて、サンデーズにとって大ピンチだったのが、もうすっかりお元気になられていたのが、今回何にも増してうれしいできごとだった。
その頃はベースを抱えるのもやっとという感じだったのに、なんと楽器までが6弦ベースになっていた。
秋月さんが復活したことでサンデーズの演奏も元気に。6年前に比べるとバンドはじわじわじわじわ進化してきている。

ライブの中盤あたりにさしかかり、いよいよ私めの出番。この日の僕のセット・リストは次のとおりである。

01) 7月のオーロラ
02) Oh, Pretty Woman (ロイ・オービソンのカバー)
03) 君は天然色(なんと大瀧師匠のカバー)
04) I Can Tell You Why (イーグルスのカバー)
05) Baby Blue


サンデーズと演るときは、自分のライヴとは方角を変えて、カバーを中心に歌わせてもらうことにしている。
でも今年はせっかくの東芝EMIイヤーズ再発の年だったから、「7月のオーロラ」をいきなり弾き語りで歌うことにした。いつものようにお客さんたちの手拍子で僕のドラムの代わりをしていただいた。ありがとうございました。

ただこの日の弾き語りは今までの弾き語りとはチョトちがった。何がちがうって? それはカワユイカワユイ、こないだ買ったばかりの、60thアニヴァーサリーのテレキャスで歌ったからだ。
当初このテレキャスのライヴ・デビューは来年1月2日の吉祥寺の「杉祭り」と決めていた。なのにどうしても我慢できずに、かなりフライング気味に、芦屋でデビューさせることにした。マテンの涙であった。

テレキャス断ちをして以来すっかり忘れていた音。これだ。これ。すっかり虜(とりこ)になってしまった。もう病みつきである。もう、この子なしでは生きてはいけない体になってしまった。
行きの新幹線の中でいとおしくて早く弾きたくて、思わずケースの上からよしよしをしてしまったほどである。そして本チャンのステージではその期待に応えてくれたのか、もう、イイ音で鳴ってくれたではないか。相思相愛の蜜月期間。我々はいまアツアツなのである。

そんなテレ狂いになっているから選曲したわけでもないが、2曲目は前から歌いたかったけれどなかなかそのチャンスに巡り会えなかった、ロイ・オービソンの大ヒットを歌ってみた。



このシングル、今でも持っています。ところで、この邦題、ちょっとすごいと思いません?


日本では映画に使われてからすっかり誰でも知っている曲になった。今まで人前で歌ったことはなかったけれど、中学生の頃大好きで、毎日のようにレコードをかけながら歌っていた曲だ。ひょっとしたら自分の曲よりも歌詞が体に入っているかも ... って自慢にはならないエピソードだったりして ... 。

3曲目は村主さんからの僕へのリクエスト。リクエストでもなければ絶対に歌わなかっただろう。あまりにもおそれ多すぎて ... 。
だいぶ前にお願いされていたが、ぎりぎりまでどうしようかずっと迷っていた。
それがついこないだ、アゲインでの大瀧さんとの再会。まったく偶然に大瀧さんの歌の秘密みたいなものにふれることになって、そのあと「君は天然色」を聴き直してみたら、それまでとまったくちがう曲のように聞こえた。すごく関心が湧いてきて、無謀ながらもよし歌ってみようという気になった。

実に感無量であった。聞いているだけでもすばらしいけれど、歌ってみたからわかる、さらなる大瀧メロディのすばらしさ。歌っていた最中、ずっと心の奥深いところが震えていた。とてもいい体験ができた。

僕のコーナーが終って、ライヴの最終コーナーはアバの「Dancing Queen」、ボーイズ・タウン・ギャングの「Can't Take My Eyes Off You」、ジュリーの「お前にチェックイン」の3連発。普段はジャズのライヴ・ハウスであるレフトアローンが、すっかり灼熱のダンスホールと化してしまった。

今回もジュリー部のみなさんが来てくださった。ありがとうございました。せっかく来てくださったというのに、今回の「おまチェク」は完全燃焼できなくてすみませんでした。どうやら「君は天然色」ですっかり集中力を使い果たしてしまったようです。次はまた7月ぐらいに開かれるようなので、顔を洗って出直してきます。

中学の同級生も来てくださったし、Wヨーコさん達にも会えたし、たった2日間の滞在で、めったに会えない、ほんとに多くの人たちと楽しい時間を共有することができました。体は疲れたけれど、魂はいまだに高揚したままです。

芦屋レフトアローンに足を運んでくださったみなさん、お店のマスター&スタッフのみなさん、村主君とサンデーズ&シグネッツのみなさん、ダンジョーくん、PAの荒木さん&中村さん、そしてイエローリボンのママさん、楽しい時間をどうもありがとうございました。また夏に会いましょう。