uncle-jamライヴの終盤戦。9日と同じく惜しむことなく「I Will」から攻めていった。

14) I Will
15) Dream Again ~ ラジオからP. S. I Love You
16) 夢のつづき

uncle-jamの歴史は「I Will」から始まった。黒沢君と僕が最初に作った曲なのだ。この曲がすっとできたからこそ今がある。
そのせいか何度歌っても鮮度がおちることのない、いつも初々しい佇まいのままでいる、ビギナーズ・ラックにも近いマジックのある曲なのだ。このマジックは無心から生まれたものにちがいない。

続けて、僕らの最初の配信曲となった、「Dream Again ~ ラジオからP. S. I Love You」。
歌い出しの♪夢の街に日が落ちて 心に星が降りて来る を歌っていると、3月27日に三崎で開かれた「ニュー・ミサキパラダイス」で、偶然日没後にこの歌を歌うことになったときのことを思い出した。
三崎は黒沢君と僕にとって、第2の故郷のようなところ。
また来年あたり三崎で歌いたいなあ。できれば久保田君や奈々子さんたちといっしょに... 。

軽やかでテンポのいい2曲が続き、そのままノリノリのエンディングになだれ込むと見せかけて、いったんしっとりとした「夢のつづき」を挟むことにした。



あとから「夢のつづき」はこの曲にインスパイアされていたんだと気づきました。


3月11日以前に三崎で作ってた曲。震災以降、詞の聞こえかたが変って、新たな思い入れが生まれてきた。知らずのうちに偶然が、今年をこの曲に刻みこんでいたのだ。


17) Heroes
18) ウキウキmusic


ノリノリの演奏中に業務連絡はできない。もちろん会話を交わすことすらできない。
何かを伝えたいときは演奏で語りかけるのだ。
黒沢君は何事にも落ち着きと安定感を大切にする人。どんなノリノリの曲でもどっしりと落ち着いた演奏をしようと心掛ける。
逆に僕はスリルとドラマチックさを求める。ノリたがり屋の僕はそんな冷静な黒沢君に、ギターのストロークのあおり具合で、燃える気持ちを伝えようとする。
「No, No, 秀樹。ここは飛ばしてこうぜ。お客さんはのりたがってる。」
一瞬ひるむ黒沢君、だがすぐに僕の意図を感じ取ってくれ、「OK。行きましょう」とギアを入れ換えいっしょにすっ飛ばしてくれるのだった。

9日そして10日と、日を追うごとに二人の以心伝心の速度はスピードアップしていき、10日の本編最後「Heroes」と「ウキウキmusic」では、もう僕があおる必要なんかなかった。二人は、強靭でしなやかなビートの塊となって、たおやかにスイングし、激しくロールし、風知空知内の室温をいっきに上昇させたのだ。
最後には観客のみなさんとも一体化し、僕らのパブロック魂はメビウスの輪を描きながら、下北沢の夜に炸裂し、ナノ単位にいたるまでのすべての音楽細胞が喜びに燃え尽きたのであった。

前日同様熱いアンコールの拍手。ありがとう。みなさんと作り上げてきたこの雰囲気が、さらに僕たちuncle-jamをひとまわり大きくしてくれたようだ。今まで以上にホットな演奏ができた夜でした。

感謝をこめて、昨夜Majixから配信が始まったばかりの「ストロベリー・ワイン」と「Crying All Night Long」をカラオケで歌った。
おっ、まだ2回目なのに、昨日よりも当てぶりが上達しているじゃないか。それがおかしかった。

いままで聴衆になるべく見えないところで見ていたのがついに我慢できなくなったのだろう。
アンコールの「Crying All Night Long」のとき佐野元春の顔が観客の一番後ろに見え隠れするようになった。そのまま、ど最後の「Take A Message To Mary」までスタンディングのままで見てくれていた。

アンコール
19) ストロベリー・ワイン (最新配信曲)
20) Crying All Night Long  (最新配信曲)
21) Take A Message To Mary (エヴァリー・ブラザースのカバー)


初めての風知空知2days。両日ともに満杯のお客さんで、いままで以上の一体感が生まれたライヴになってほんとによかった。今までで一番の達成感でした。

uncle-jam第1期の終わりであり、そしてまた第2期のはじまりとなる節目となった uki-uki music club vol.5 に参加してくださり盛り上げてくださったお客さん、音楽仲間や関係者のみなさん、そして店長のサキちゃんはじめ風知空知のすべてのスタッフのみなさん、ほんとにありがとうございました。
いい感じでなんとか1年目を折り返すことができました。

次回の風知空知は12月24日のクリスマス・イヴ。いつもとは趣向を変えて、uncle-jamのuki-uki ☆Xmas Partyといきます。せっかくだからuncle-jam特製のクリスマス・ソングを作ってお待ちしようかと今からはりきっております。昨年のように「サンタ銀次」、そして「トナカイ秀樹」が登場するかどうかはまだ未定です。

そのため、今回の2days でお題をいただいた「(仮)パリで君に帽子を買ったよ」と「(ほぼ決定)港町電車通り」の2曲は、越年させていただき、来年そうそうの発表となります。あしからずです。


■uncle-jamのuki-uki☆Xmas Party
■日程:12月24日(土曜日)
■場所:下北沢 風知空知
東京都世田谷区北沢2-14-2 JOW3ビル4F
(下北沢駅徒歩3分、南口商店街)
■時間:開場18:00 開演19:00
■料金:前売り(予約)3500円 当日:4000円 (共に別途+1drink)

風知空知 電話予約受付中
電話:03-5433-2191(17時~26時)


みなさんこぞってご参加くださいね。ご予約をよろしくお願いします。



9日以上に10日は、大勢の音楽関係のかたたちが駆けつけてくださった。
銀次親衛隊のツープラトン、徳間書店の治郎丸慎也さんと、漫画家/イラストレーターの本秀康さん、最近はなにかとお会いすることが多い、L⇔Rのプロデューサーでもあった牧村憲一さん、大瀧詠一さんや山下達郎君をいち早く起用された日本CM界のパイオニア、大森昭男さんなど、みなさんお忙しい中かけつけてくださった。ありがとうございました。楽しんでいただけたのなら幸いです。



大森さんが手がけられた大瀧詠一師匠のサイダー'73。当時のCM界に風穴を開けました。


プロデューサーでベーシストの根岸考旨君も来てくださっていた。終了そうそう、まっすぐ僕の方へずんずん歩いてきて、「uncle-jamがバンド・スタイルで演るときは、ぜひ僕に弾かせてくださいよ。」と自ら志願してくださった。彼はいまウルフルズのドラマー、サンコンJr.と「ネギサン」というユニットを組んでいて、そこに黒沢君が最近合流したばかりだった。
どの曲もオレのツボですとうれしいことをいってくださった。うーむ、冥利につきるが、なにせ志願者が多いので、すぐにお返事をすることはできなかった。スマンの涙です。

いつものようにの百田忠正君も遊びにきてくれた。百田君は元C-Pointのメンバー。
C-Pointといえば、1982年に佐野君が彼らの「We Can Love」というシングルをプロデュースし、僕が「HIGH-TUNE」という彼らのアルバムをプロデュースしたことがあった。
なんとこの日、百田君と佐野君が顔を合わせるのはそのとき以来、実に29年ぶりのことだった。
それにも関わらず、さすが佐野君、ちゃんと憶えていた。すぐそばでこの再会に立ち会うことができて、ダディのときとはまたちがった温かい気持ちにさせられた。
関わった自分が言うのも何だが、「We Can Love」も収められたこのアルバムはとてもすばらしいので、ぜひ再発CD化していただけないものかと思う。

佐野君が来ていたことで一番驚いていたのは佐藤奈々子さんだろう。招待の案内をさせていただいたとき、彼が来ることは告げていなかったのでやっぱりのサプライズサプライズ。でもそれはうれしい驚きだったようでよかったよかった。

奈々子さんとは久保田くんと共に、神戸チキンジョージで共演する機会があり、その打ち上げではじめてゆっくりお話をすることができて、お互いの知っている佐野君の横顔やエピソードを交歓することができた。そのときの「銀次さんの音楽の考え方と佐野君の音楽に対する考え方は同じね。感性がちがっているだけ。」の一言があれからずっと頭の中を回っている。
僕たちの楽屋がわりのソファに3人でこしかけてまったりと歓談。僕が幹事役を引き受けて、今度3人で食事をすることになった。

その奈々子さんが来ていたことで驚いていたのは、三崎から来てくださった藤沢さんと、僕と青木ともこさんのユニット、クラウディベイや黒沢君のバンドでベースを弾いてくれている戸田吉則くんだった。

なんと藤沢さんは、奈々子さんと戸田君が80年代に組んでいたSPYのマネジャーだったとのこと。
僕らのライヴが生んだ驚きのドミノ倒し現象。うれしい再会がいくつもいくつも起こった風知空知の夜であった。


お酒を呑まなくなってからは、いつも電車のあるうちに帰る僕が、10日は二次会にまで参加して、下北沢で黒沢君達と夜明かしした。なんか人道上帰ることができなかった。2 daysやれたという喜びを黒沢君やみんなとたっぷりと分かち合いたかったからだ。
最近気づいてきたが、僕はノンアルコールでもドーパミンが出る人のようだ。酔っぱらいの中にいても負けずにハイになれることがわかってきた。

久保田洋司君がマイルス・デイヴィスやドビッシーが大好きだとわかったのもなによりだった。ライヴ終わりのちょっとした間に、風知空知のあるビルの隣のレコファンで買ったアナログ盤を見せてくれた。そのことが、いままでよりずっと彼のことを身近に感じさせてくれた。見直したよ。ジャズが好きなヤツに悪いヤツはいないから ... 。
そのせいだろう。あれからブログを書く時はいつもジャズをかけるようになった。ぼくの再ジャズ熱に久保田君が火をつけたのだ。



いま聞いているのはこれ。トランペットの練習を始めるようになって、マイルスやクリフオードやアートなどのトランペッターが前よりずっと好きに。逆立ちしても絶対にこんなふうに吹けないけどね。


後日佐野君にお礼のメールを入れたら、とても気持ちのいいライヴに呼んでくれてありがとうというお返事が帰ってきた。なんと僕たちのパブ・ロッキーなライヴが余韻を引いたのか、元春レディオ・ショーで、思わずパブロック特集してしまったよと書いてあった。
そう、そうなんだよ。そういうところは昔からちっとも変ってない佐野君らしさだね。何か佐野君にいい影響があったのならうれしい。

よほど僕たちのことを気に入ってくれたのか、uncle-jamでぜひ聞いてみたい曲をリクエストまでしてきてくれた。

エバリー・ブラザーズ / Bye Bye Love
シールズ&クロフツ / Summer Breeze
サイモン&ガーファンクル / The Only Living Boy In New York City
ブレッド / Make It With You

どうもありがとう。プロデュースまでしてもらっちゃったよ。これからのカバー曲のレパートリーの参考にするからね。

僕は打ち上げの美酒には酔えなかったけれど、お客さんから黒沢君経由で「はらドーナッツ」をいただきました。いまではすっかり「あんぱん」とか「かりんとう」とかが好物の甘党銀次。2日に分けておいしくゴチになりました。添えてあったお手紙には「みなさんでお召し上がりください」と書いてあったけれど、それを読んだのが帰宅後だったもので、ぜーんぶ僕がいただいてしまいました。あしからずです。

ほんとにどうもありがとう。楽しい時間を共有できてとってもハッピーだった。
そして残念ながら風知空知におこしいただけなかったみなさん、僕のレポで少しでも2日間の雰囲気を味わっていただけたでしょうか?この調子でなんとかがんばって、来年こそみなさんの街まで出前ライヴが出来るように黒沢君も僕もがんばります。とりあえずはそれまで、「ストロベリー・ワイン」と「Crying All night Long」を楽しんでいてくださいね

これからもuncle-jamをよろしくお願いします。

FINE