6月26日は、西宮北口のRJ & BME'Sというライヴハウスで、「サンデー銀次」の読者のお一人、♪陽子☆さんの「空と夢と愛のうた」というライヴがあり、それにゲストで出していただいた。

♪陽子☆さんは、1982年に「BABY BLUE」をリリースした頃からのファン。その頃「伊藤銀次のコークサウンドシャッフル」という番組の月一の収録で僕がFM大阪に来るとき、いつも会いに来てくれていた「かしまし6人娘」のお一人である。

まさか、そのウンジュウ年後に、こうして彼女のライヴにゲスト参加することになるなんて想像もつかなかった。そういえばその頃、FM大阪でアルバイトしていたのが今思えば坂口修少年。
のちに、オダギリジョーさん主演の「時効警察」などの音楽をてがける坂口修君だった。
ほんとに人の縁は異なものである。

♪陽子☆さんのライヴは、ハスキーウルフという若いピアニストをバックにつけた、「I'm Old Fashioned」や「Stella By Starlight」など、ジャズ・シンガー的なアプローチ。「Moon River」を聞いていたら、その歌い方の感じからか、昨年の僕の還暦ライヴでこの曲を歌ってくださった佐藤奈々子さんを思い出した。

さて僕の出番。ちょっぴりアウエイなので心配だったが、思いのほか受けたので予定より長く演ってしまった。
♪陽子☆さん、スマンの涙です。
すべて♪陽子☆さんのリクエスト。プロデュースされてしまいました。
僕が歌ったのは


01) トワイライト・シンフォニー
02) 風のプール
03) 雨のステラ
04) The Second Star to The Right (ピーターパンの主題歌のカバー)
05) こぬか雨


そして最後のほうで、ビートルズの「I Will」を僕のギターだけの伴奏でいっしょに歌ったのは楽しかった。





この日はさらに、「かしまし6人娘」のお一人、ウエスこと、もうひとりのヨーコさんも来てくださって、ひさびさにダブル・ヨーコが見れたし、僕の高校時代の音楽友達、歯科医の岡憲一君が会いに来てくれたり、名古屋から初めて僕を見にきてくださったお客さんがいらっしゃったり、うれしいサプライズが連続、ワクワクウキウキが続きっぱなしで、僕はかなりハイでした。♪陽子☆さん、またぜひ声をかけてくださいね。


その前日の6月25日、扇町のフラットフラミンゴに行く途中、阪急梅田駅の茶屋町口から出て、NUの7階にある、タワーレコード茶屋町店に寄った。
ブッカー・Tの新譜をどうしても早くゲットしたかったからである。何も大阪で買わなくても東京に帰れば買えるのに...。



おなじみ「Green Onions」。オルガンを弾いているのがブッカー・T・ジョーンズです。
そしてギターは清志郎さんのプロデュースでもおなじみのスティーヴ・クロッパー。


もちろんCD屋に寄ること自体は大大大好き。だけど荷物が増えるだけとわかっていて、なぜこのタイミングでゲットしたかったのかというと、これには理由があった。

あれは石田ショーキチ君と町田のスタジオでリハーサルをした6月16日のこと。リハ終わりでひさしぶりに町田のレコファンに寄って行こうと思っていた。
以前は町田の西友の6階にあって、よく自宅からジョギングして行ったのだが、、最後に行ったときにお店がなくなっていた。ショーキチ君にそのことを聞いてみると、どうやら今は東急ツインズというビルの中にあるという。別に何を探すとか目当てはなかったが、ちょっくらのぞいてこようと思った。

うん、いい感じだ。前よりフロアが広くなったようだ。じっくり見たかったが、早く帰ってライヴの個人練習をしなければならなかったので、おおまかに各所をチェックした。
するとそのときかかっていたCDが初めて聞くのに、誰だかわかってしまった。
まちがいなくブッカー・Tの最新アルバムだ。

歌ものも入っているが、MG'sを彷彿とさせるインストに食指が動かされる。
ブッカー・T& The MG'sの勘所を押さえた音作りだ。

ま、でも今はライヴに集中しようと、若干後ろ髪を引かれつつその日はおとなしく帰ってきた。

それから、何度かやまびこのように、あのサウンドの感じが頭の中で鳴って、うーん、やっぱり買ってくればよかったななんて、プチ後悔していた。

最近プライベートがなかなか大変で忙しい黒沢君と、ひさしぶりに6月22日、下北沢でリハをした帰り、下北沢レコファンに寄った。西荻に来てくださった店員さんに会えるかと思ったが、残念ながら非番だった。

南口商店街のほうの入り口から入ると、いつも最新プッシュ盤が右手の壁面にずらっと飾ってある。端からゆっくり見ていると、あったあった、買いそびれたブッカー・Tが ...。


Road from Memphis/Booker T. Jones

¥1,447
Amazon.co.jp


手に取ってみると、包装紙に書かれたキャッチがなんともグっとくるではないか。

「Classic soul funk to heat up your summer !」

ほとんど「買い」の方向に前傾姿勢をとりながら、その続きを読んでいると、なんと、

joined by members of THE ROOTS とあるではないか。やった、これはいいに決まっている。

THE ROOTSはニュー・スクール、現代のヒップホップ・グループだが、とても先達のソウルに理解がある人たちだ。彼らの存在と才能を知ったのは、アル・グリーンのアルバム「Lay It Down」(2008年)。
THE ROOTのドラムスのクエストラブのプロデュースで、「Let's Stay Together」の頃のアル・グリーンのソウルが、見事に2000年代に対応したサウンドで蘇っていてなんともうれしかった。





このブッカー・Tの新譜、そのクエストラブのTHE ROOTSがバックを務めていたのか ... 。
どおりで町田のとき妙に心がうずいたわけだ。

とりあえず、どうせレジは1階だから、2階を漁ってきてからゲットしようと元に戻し階段を上った。
この日は2階にめぼしいものを見つけられず再び階段を下り、さてブッカー・Tはと探したが、なんと見つからない。

これはおかしい。もう一度心当たりの場所に立ってみる。あっここだ。キャロル・キングのCDの右側が空白になっている。ここについさっきまであったはずのブッカー・Tがなくなっている。1枚しかなかったヤツを誰かが買って行ったのだ。ガチョーン。ほんの10分くらいの間の出来事だったのに。

もう120%買う気になっていたものが恩讐の彼方に消えてしまったので、僕はもうすっかりブッカー・Tの新譜の亡者と化していた。その日はしかたなく、自分をなだめながら、パット・メセニーの新譜だけを買って帰ったが、わざわざそれだけのためにCD屋さんに行く気はなかった。仕事で移動している途中、どっか近くにCD屋があるとき、まさにちょうどそのチャンスが茶屋町のタワーレコードだったわけだ。



もう、カッコよ過ぎ。音がバシっと決まってる。共通言語は笑顔ではなくリズムなのだ。


アル・グリーンに続いてこれも当たりだった。uncle-jamもそうだが、互いのリスペクトで音楽は世代を超えるのだ。ますますTHE ROOTSに興味がわいてきた。


こうして、2日間の大阪ツアーは「ウキウキワクワク盛りだくさん」で無事終了するかに見えたが、最後はとんだおまけがついてきて、ドラマチックというか、ちょっち銀ドジな幕切れとなった。
25日のライヴ中にかけた、例の幻のCMの入ったCDを、なんとフラットフラミンゴに忘れてきてしまったのである。
西宮のライヴが終わってからフラミンゴに電話して、西宮北口からまた扇町までギターをしょったまま取りに行かなければならなかった。マスターにお願いして送ってもらってもよかったのだが、とても貴重なCD なので、万が一を考えて直に取りに行くことにしたのだ。

熱い町リオデジャネイロじゃなかった、熱い町大阪を移動するのは決して楽とはいえなかったけれど、これくらい大丈夫。なにせかって「Twowhere Man」だったりで、「移動銀次」にはすっかり慣れているからね。