マジ驚いた。マジ驚いたッス。
大瀧詠一さんのブログの、エヴリデイ・アミーゴ的な連続更新に舌をまいていたら、なんとさらなるサプライズ、「地を這うさんま」の詞のスケッチが存在し、しかもその原本を保存なさっていたとのこと。
驚きを通り越してもう痛快です。おそれイリヤのクリアキンです。



この人がイリヤ・クリアキンです。デヴィッド・マッカラムが扮していた「0011ナポレオン・ソロ」での役名。


実はそんな大それたものが現存していたとは夢にも思わない僕は、これも信じられないことだけど、西荻でのライヴをまじかに控えているにもかかわらず、「地を這うさんま」の詞をぼちぼちと考えはじめていたのであった。悲しいさがというのだろうか ... 。

「ビルとビルの隙間の空を見てたら」のところに 「ネギと鶏肉(トリ)の隙間に箸を入れたら」とか、「そこでぼくは ふと黄身のこと 思い出して 白身だけのだし巻を食べるところ」 とか、くだらないものは思い浮かぶのだが、いかんせんそれなりのつじつまがなかなか合わない。

ただ一行、サビの「空飛ぶくじらが僕を見ながら」のところにうかんだ、「地を這うさんまが 生焼けのままで」 の「生焼けのままで」は、けっこう好きなテイストではあるが。

空耳的な、音の響きの類似したものを探してばかりいたから、果たして何の歌になるのやら、まったく考えていなかったけれど、だんだん言葉が集まってくると、どうやら僕が書きたがっているのは、居酒屋でいっぱいやってるときに、今まさに焼かれていたさんまが、生焼けのままで海へ帰って行こうとする、けなげな姿を目撃した、まさにその瞬間の歌のようだ。
それも目黒は権之助坂あたりにある居酒屋。昔からさんまは目黒にかぎるからね。

そんなさなか、大瀧さんのブログに本家の詞が上がっていたから驚いた。


http://www.fussa45.net/radio/index.html


そうか大瀧さん、「LET'S ONDO AGAIN」のときに一度は形にしようとなさっていたんだ。これはまったく初耳だった。
おや、間奏のスキャットのアイデア、僕が考えていたのと同じだぞ。むむ、これぞナイアガラ流の極意、相伝か。

「空飛ぶくじら」のスキャットの部分、なんと歌われているのかわからなかったので、ネットの歌詞で調べたら、「くじるら くじる えろらる らなる らな なや 」となっていた。
うーん、そうも聞こえるしそうじゃなくも聞こえる。でもとりあえず信じて、まずこれをパロってみることにした。

はじめは、「くじるら」のところに「スギウラ」が聞こえてきて、ならば、これは南海ホークスの黄金時代でいくしかないと神のお告げがあり、「スギウラ ノムラ ハドリ ヒロセ ミナガワ」にしようとしたが、これではあまりにもマニアック過ぎた。この世で僕と大瀧さんしか意味がわからない。

次にうかんだのは、「くじるら」は「くじら」にラ行変格活用のひねりを入れたフレーズだから、「さんま」にも
マ行変格活用が応用できるのではということだった。つまり「クジルラ」は「サンムマ」となるわけだ。
すると「くじるら くじる えろらる らなる らな なや 」は 「さんむま さんむ えもまむ  まなる まな なや」 となるわけだ。なんか般若心経みたくなってきたが、公式どおりだとこうなる。

なんと本家も同じアイデアで間奏のスキャットを自らパロっておられるではないか。
しかも本邦初公開、自筆によるスキャットのロゴが書かれていた。僕の記憶ではアルバムの歌詞カードに書かれていたことはない。
正しいスキャット(?)が、「クジルラ クジル ロレト ラレトン ダプダプ ダヤ」だったとは... 。
これを、ラ行変格活用の「クジラ」ヴァージョンから、マ行変格活用での「サンマ」ヴァージョンに直すと「サンムマ サンム モメト マメトン ダプダプ ダヤ」となるわけだ。打ち合わせなしに師匠と同じ公式にたどりついていたことに妙な感動をおぼえた。こんなくだらないことに感動していていいのかちょっちとまどいは否めないが ... 。

それにしてもさすが本家だ。よくできている。くだらなさに品格があるのがナイアガラだ。
が、しかし、「ロング・ヴァケーション」以降の大瀧さんの芸風ではいくらなんでも、この作品を大瀧さん自身の名義で世に出されることはかなわないだろう。ここまでできているというのに、もったいない。
大瀧さんが封印なさっている「正月の餅つき」と共に、スポークスメンやナポレオン14世みたいな覆面アーティストやグループでやるのもありかなと、秘かに思う、西荻ライヴの4日前であった。