ムム、昨夜は「サンデー銀次」作成中に、アメーバのメンテナンスに入ってしまいアップできなかった。なので、めずらしくこんな時間の発信である。今日はこれから小路幸也さんの「東京公園」が映画化されたので、その試写会にでかける。

昨日は黒沢君と、例の「パン」の歌の曲作り。なんとなくメロディは形になった。
ボサノヴァみたいに始まるけれど、ただボサノヴァのまま、ボサノヴァとして終わっていく人生をこの子には過ごさせたくない。
パブロック・ユニットを名乗っている僕らなのだから、それをロック・サイドにたぐり寄せたものにしたかった。
イギリス・パンク・ファンクのイアン・デューリーに「lnbetweenies」というすぐれものがある。この曲も、一歩まちがえるとただのフュージョンで終わるところを、ど根性でロック・フイールドにタッチダウンさせているところにロッカーの意地を感じる。





イアン・デュリーとuncle-jamでは音楽がちがい過ぎるかもしれないが、僕らにも僕らのそれなりのこだわりがある。ただきれいな曲で終わらせたくない。結果、バッファロー・プリングフィールドとブレッドがブレンドされたようなものになってきた。今日は二人で映画「東京公園」の試写を見た後、ひきつづき詩について考える。


2,3日前からCDをちょこちょこかたづけ始めたら、これがいつのまにか本格的になってしまって、大整理大会になってまだ終わらない。
とにかく、とばしとばしでも一枚一枚聞かなきゃならないもんだから時間がかかってしょうがない。
ほんとにひさしぶりに聞くものやら、買ったっきりほとんど聞いてなかったものやら、前はけっこう気に入っていたのに、時間が立つて時代の香りが抜けちゃった今聞くとたいしたことなかったり、かと思えば、前はそれほどと思わなかったのによさが今になってわかるものがあったり、時間はとられるが、そのへんが新譜を聞くようで楽しい。

ひさしぶりに聞いて予想外によかったなと思った1枚がエラスティカの1st。
Vo、Gtr、Bassが3人が女性でDrsが男性。この1stはイギリスでNO.1になり、アメリカでも50万枚以上売れたけれど、後続が続かなかった。一聴した感じではさっくりと作っているように聞こえそうだが、曲がポップでしっかりしているので、時を経て聞いても飽きない。だけど愛聴盤というわけでもなかった。せっかくだからしばらく身近において聞いてみようか。ちょっとカーズっぽかったりして。





もう3年前のアルバムになるが、トム・ペティが、ハートブレイカーズ以前に組んでいたバンドを30年以上の時を経て再結成、果たせなかった1stアルバムを奇跡的にリリースした、夢のバンド「マッドクラッチ」を、この機会に聞き直してみた。
30年以上の時を経て? ...、これではまるでココナツバンクじゃないか。似たような話は意外とあるものなのだね。

発売当時にすぐに買ったけど、一度二度度聞いただけで棚に直行していた。どうもこういうベテラン&大物関係のものは、そうそうサウンドに大きな変化がないので音を確認すると「なるほどね」、と安心をもらって棚への直行便になりやすい。
昨日の夜、ひさびさに聞いてみたら、なんだかエレキ・ギターの音がスティール・ギターのようだった。だけど、あきらかにエレキ・ギター。なに?これってひょっとしてストリングベンダーじゃないのか?

ストリングベンダーというのは、ザ.バーズのクラレンス・ホワイトとジーン・パーソンズが共同開発したエレキ・ギターで、スティール・ギターのような効果が得られるシステム。2弦もしくは3弦をスプリングで、ストラップピンの先と連結して、ネックを下方向に動かすと、ストラップピンが動き、梃の原理で弦をひっぱり、弦を普通に押さえたままで、まるでスティール・ギターのように音の上り下がりが可能になる。



ジーン・パーソンズ自身が説明している。


そのサウンドがマッドクラッチのアルバムの随所に聞こえてくるではないか。
確かギターのマイク・キャンベルはそういうスタイルではなかったはず。それではと、メンバー・クレジットを見ると、もう一人のギタリストの名前が、Tom Leadon。
Leadon? それってイーグルスの初代ギタリスト、バーニー・リードンのLeadonと同じじゃない。それもそのはず、なんと弟だった。

バーニー・リードンといえばあの名曲「Take It Easy」や「Peaceful Easy Feeling」で、ストリングベンダーを使った名演を聞かせてくれた男。じゃあきっと、その弟がプレイしているのだろうと、その段階では100%思い込んでいた。



向かって一番右の人が、バーニー。

ところが、マッドクラッチのヴィデオをYouTubeで調べてみたら、ストリングベンダーつきのテレキャスをプレイしていたのは、なんと、マイク・キャンベルのほうだった。驚き! そんな芸風もあったんだね。



マイク・キャンベルはサングラスのほう。3分35秒あたりのマイクの動きに注目。


しかもこの曲はクラレンス・ホワイトがいた後期バーズの代表曲のカバー。そうか、ハートブレイカーズの時のリッケン、このバンドではベンダーつきテレということは、後期バーズがやりたかったのか ... 。
アルバムにはもっとわかりやすくマイクがグニャグニャにストリングベンダーを駆使している、フライング・バリットの「Six Days On The Road」なども入っていて、カントリー・ロック・ファンにはまことにうれしいかぎり。
気をつけよう。買ったCDは偏見を持たずに、すみずみまで注意深くありがたく聞かないと ... 。

どうもこのストリングベンダーをとりつけたギターは、ベンドさせないときは、しっかり固定しておかないと、ギターの重みでベンドがかかってしまうんで、ギタリストの動きが制限されるようだ。そのせいか、ザ・バーズのDVDでクラレンス・ホワイトのベンダーぶりを見るといつも直立不動。フレーズはすごいのに絵的にジミなのか、はでに踊りながらプレイするベースのスキップ・バッティンばかり映している。
当時のTVのカメラマンたちは、何が起こっているのかよくわかってなかったのだろう。エレキギター史上、とんでもなく革命的なことが起きていたのに。とかくロックは中身より見てくれが勝ってしまうからね。



スタートからいきなりクラレンスだけ見切れている。


マッドクラッチのPVを撮影している人も、そんなことを考慮しているわけではないので、マイクがベンダーを使っているのがわかりにくい。
だが、僕は見逃さなかったぞ。前から好きなギタリストだったけど、こんな芸風もあったのか。マイク・キャンベルおそるべしだ。
トムといいマイクといい、還暦なんまだまだバリバリのミュージシャンたち。
還暦パン食うロッカーも負けてはいられない。