僕の乗った京急本線快特三崎口行きが、横須賀中央駅を過ぎた頃にメールを送っておいたので。三崎口に17:03に着いた時、黒澤君が車で迎えにきてくれていた。彼は録音機材のセッティングなどがあるので、一日早く、三崎港の音楽プロデューサー、藤沢宏光さんのお家についていたのだ。
ほんとうはもっと早く来るつもりだったが、ヤボ用を片付けていたらこんな時間になってしまった。
遅くなったことを詫びて車に乗り込む。

京急は僕らの目的地の三崎港までは行ってくれない。三崎口からバスに乗換えなければ行けないのだ。
よく彼がツイッターで、僕が社長で彼がおかかえ運転手と言っているがそれはあくまでも黒沢ギャグ。僕は免許も車も持ってないので、いつも黒沢君にお世話になってばかりいるのだ。いつもすまないね。

こんな真冬なのに車窓からこんがり夕焼け雲が見れた。いい気分で夕暮れの田園風景をしばし走ると、車は三崎港の街並に入ってきた。来た、来た。また来た。いや、来たというよりいまや帰って来たという気分さえする三崎港だ。


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藤沢さんのお家は車道を挟んで港に面している。地下にある八甲田山スタジオでこれからレコーディング、歌入れとミックスの作業をするのだ。荷物をおかせてもらったら早速、藤沢さんのお店、ミサキプレッソにまずご挨拶に行く。
ミサキプレッソは三崎下町商店街にある小さなイタリアンカフェ。通称MP。昼は、エスプレッソとパスタ、そして夜はイタリアンワインを楽しめる三崎唯一のカフェ&バールだ。山吹色のオーニングが目印。そして隣が、三崎まぐろラーメンでおなじみ中華料理 牡丹だ。
藤沢さんのことは、週刊銀次・Archiveの2010年05月30日号に詳しく書いてあるので、ぜひそちらを読んでいただければありがたい。
MPに入る前に牡丹の若主人と目が合い挨拶。お元気そうでなにより。

今までにMPには僕たちuncle-jamだけじゃなく、久保田洋司君やリクオ君、辻睦詞君、清水靖晃さん、ヒートウェイブの山口洋君などのミュージシャンがたずねてきている。佐藤奈々子さんやザバダックの小峰公子さんにMPのことを話したら、すごく行きたい行きたいと盛り上がった。
もちろんいつも素敵な音楽が流れるMPは三崎に住む音楽好きの人たちの憩いの場所でもある。そして僕たちuncle-jamには、いつも新しい出会いが待っている場所でもある。

この日MPに藤沢さんに紹介されたのは、ガス給湯などの施工のお仕事をなさっているSさん。うれしいことに僕のファンだという。佐野君の1994年横浜スタジアムでのLand Hoを見に来られていたみたいで、
「あのとき銀次さん、ギヴソンSGを弾いてましたよね?」と、僕も忘れていたことをご存知で驚いた。
僕のことだけじゃなく、ナイアガラとか頭脳警察など日本のロック全般にもとても詳しい方で、なんと僕がプロデュースしたパンタさんの「レーザー・ショック」のことまでご存知。いやー、驚いた。この曲の入っている「唇にスパーク」というアルバム名を誰かの言葉で耳にするのは、おそらく生まれて初めてのことだと思う。布谷さんの「悲しき夏ばて」にまで話が及んで、しばしマニアックな音楽話で楽しく盛り上がったMPであった。





おまけに、ギターのコレクターでもあり、翌日ギヴソンやグレッチ、マーチンなどのヴィンテージ楽器を持ってきてくださり弾かせてもらったが、どれも状態がよくフレットもしっかりしていてなかなかのスグレものばかりだった。特に僕はマーチンのアコギが気に入った。古い弦を張ったままなのに鳴ること鳴ること。
今回の滞在で、近い将来ミサキプレッソか貝がらホールで、uncle-jamのライヴをやろうと藤沢さんと盛り上がったそんなタイミングだったので、図々しいようだが、その時は手ぶらで三崎港までやってきて、Sさんのマーチンを借りちゃおうかななんてずるい考えが、頭をもたげてきてしまった。

素敵な秘蔵ギターを弾かせてもらったお礼に、おなじくSさん秘蔵の「ナイアガラ・トライアングル vol.1」のアナログ盤や、キューン・ソニー盤の「Love Parade」などにサインをさせていただいた。
今回は残念ながら会えなかったが、三崎のマイケル・ムーアこと三浦市立病院のU先生や、ここであった人たちはみな個性的だが、温かいかたたちばかりだ。

その後スタジオに直行、深夜まで黒沢君と歌入れ。終了後MPから戻ってきた藤沢さんとひさびさの積もる話で朝を迎えた。疲れていてもこれは三崎に来る楽しみのひとつでもあるのだ。

翌日、それでもお昼頃起き出した。ウェアに着替えて城ヶ島までランニング。今回ははっきり目的があった。城ヶ島に渡ったら、この地にゆかりの北原白秋の記念館を見てくることだ。それについては明日また。


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城ヶ島大橋はけっこう長くて、向こうまで遠いんだ。