作家の小路幸也さんが佐野元春札幌ライヴを見に行かれたようだ。
小路さんの公式サイトのnew Diary1月19日(水)にその感想を書かれているのだが、佐野元春のシャウトについての表現に思わず胸が熱くなった。作家としてではなく一音楽ファンとしての、飾りのない気持ちがこちらにも伝わってきた。

http://solas-solaz.mods.jp/newdiary.html

さて昨日は終日、凪のような一日。僕にもたまにはこんな日もあるのだ。





昼過ぎに、目下作曲中の曲の詞についてのアイデアが浮かんだので、黒沢君に電話。またちょっと回り道になるようだが、昨日までの方向の軌道修正を提案してみる。
感のいい黒沢君はすぐにピンときてくれたみたいで、さっそく新しい方向でトライすることで意見が一致した。まだ出来上がったわけではないから、うかつなことは言えないが、きっとみんなが好きになってくれる曲に向かって歩き出したような気がして、ワクワクしてきた。

夜はひさしぶりに我が師、音楽プロデューサーの木崎賢治さんとのお食事会。遅ればせながら読み始めた内田樹さんの「下流志向」が、ちょうど「スター・ウォーズ」のオビワンとアナキンの「師弟関係の条件」のくだりにさしかかったところだったので、不思議な偶然を感じた。
外苑前のトラットリアに6時の約束だったが、15分ほど早くついてしまったのでリブロで本を見る。
若い頃は遅刻魔でさんざん人を待たせた「コマッタちゃん」だった僕も、いつのころからかかなり余裕をもって家を出る癖がついた。遅刻に関する失敗談についてはまた別の機会に譲るが、一度この癖がつくとぎりぎりでイライラするあのノリには耐えられなくなる。
乗り物の連絡が良すぎて早く着いた時は、そのぶん散策にまわしたり得した気分。主に本屋かCD屋だが、無目的にその辺りを歩き回ったりするのも楽しい。

地下へ降りる階段を下りるとリブロ。まず一般書籍から。昨日スマナサーラさんの「怒らないこと」を取り上げたら、読者のかたからすぐコメントが寄せられてきた。
それについては明日ちゃんとお返事しようと思っているのだが、そのせいか前から買おうかどうしようか迷っていた「怒らないこと2」を思わず手にとってしまった。よく映画とかpart.1がおもしろくて、part.2でがっかりさせられることが多いので、躊躇していたのだ。
前のとどこがちがうのか気になって表紙を開けてみたら『前作「怒らないこと」から、さらに心の深層に分け入り... 』と書かれているではないか。
真実にさらにまだ深く分け入ってくれようと言うのなら、これは買わねばとレジに向かった


怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話〈11〉 (サンガ新書)/アルボムッレ・スマナサーラ

¥735
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レジに向かう途中で、そうだ、ひょっとして「僕はビートルズ」の3巻が出てないかとコミックのコーナーヘ。おっ、やったー、出てる、出てる。
レジで2冊並べてみてからつくづく思った。なんともいえない組み合わせじゃないか ... 。


僕はビートルズ(3) (モーニングKC)/かわぐち かいじ

¥560
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2010年12月22号「サンデー銀次」の「うっかりTHE東西南北」で木崎さんについては詳しくふれた。その木崎さんを、昨年の12月24日の僕のバースデイ・ライヴ・パーティーにお誘いしたのだが、残念ながらお仕事でいらっしゃれなくて、その埋め合わせに年が明けたら御馳走するよとのことで、おあずけを食っているポチのように、今日の日を楽しみにしていたのである。もちろんおいしい御馳走もめあてだけど、ひさびさに木崎さんといろいろお話ができることがなによりの楽しみだった。

話題は、今手がけている新人のお話から、曲作りのこと、最近の音楽シーンのことからシュプリームスやらチェスレコードに、はたまた歯の噛み合わせと姿勢の健康への影響にいたるまで、幅広くしかも内容が濃くて、あまりの楽しさにあっというまに時間が過ぎた。ごちそうさま。ありがとうございました。

いつもやさしい先生のように話してくださる木崎さん。今日一番うれしかったのは、僕が体験から得ていた、たぶんこれが理想的な歌い方だろうと思う歌唱法が、木崎さんの理想とするものと同じだったことだ。昔、木崎さんにプロデュースしてもらったときにはよくわからなかったことが、自分なりに追求していった結果、今日やっと答え合わせできたような気がした。

ひとつ思い出すたびに顔から火が出るほど恥ずかしい思い出がある。
木崎さんとあるアーティストをいっしょにプロデュースしているとき、若くせっかちだった僕が待てずに、そのアーティストにメロディーの書き直しをせっついてしまい、アーティストがへそをまげてしまったことがあった。
そのあと別の打ち合わせに移動するタクシーの中で木崎さんに「あと5分、銀次さんが辛抱していたら彼は自分から書き直す気になっていたよ。」とおだやかに言われた時は、世界がすべて崩れていくのじゃないかと思うほどのショックだった。一生忘れられない、自分の未熟さをいやというほど教えられた瞬間だった。「いそぎすぎないこと」も大切なことなのだ。

お忙しいかただから、果たして見に来ていただけるかどうかわからないが、黒沢君とのuncle-jamの2月13日の風知空知での「uncle-jamのuki-uki☆music club vol.2」にお誘いしておいた。どうかその日がラッキーにもあいていますように ... 。

なんとなくまったりと過ぎた日。スマナサーラさんの本と木崎さん、二人の師に再会できたうれしい安息の日であった。