1月9日武蔵小山アゲインでの「話し出したら止まらナイト」第4回、「銀流フォークロック伝」。いやー、こころおきなくしゃべった、しゃべった。みなさんも楽しんでくださったようでよかった、よかった。
なんとこのイベントのためだけに名古屋から駆けつけてくださったファンの方がお二人もいた。うれしすぎるよ。ありがたすぎるよ。その気持ちに答えられた内容になってたことを祈りたい。

伊藤銀次というとビートルズ、そして60sブリティッシュ・ビートというイメージがあるようだが、それと同じくらい、実はフォーク・ロックにも大きな影響を受けているのだ。
ディラン、バーズ、タートルズ、サイモン&ガーファンクル、ラヴィン・スプーンフル、グラス・ルーツ... すべてまだシングル盤の時代に、毎日のようにすりきれるまで聞いては歌い、へたくそだったが、友達とバンドでカバーしたものもある。そんな旧友のようなフォークロックについて、今あらためて僕なりに語ってみたいと思った。あれからうん十年、新たにいろんな事実が判明してきて、若き日の幻想が崩れることもあったけれど、僕の中でのフォークロックの輝きが色あせることはなかった。銀次のフォークロック愛、それが「銀流フォークロック伝」である。
そいじゃ武蔵小山駅からトークイベントのあるアゲインまで、店長の石川さんに案内していただこう。





フォークロックの隆盛は厳密には1965年から1966年まで。その種がまかれた前夜の1964年から数えてもたった3年たらずのあいだに、ポップス界に大変革が起こり、それが現代のロックにつながっていったと僕は考える。幕末から明治政府誕生までに似たドラマ性を感じてしまう。坂本龍馬が、勝海舟が、岩崎弥太郎がその時の日本を動かしたように、フォークロック誕生にビートルズが、ディランが、バーズが、いや彼らだけではなく多くのミュージシャンが動いて、いくつものドミノ倒しのような出来事を引き起こしたのだ。

前回のフォークロック伝の前段が終わったあと、すぐにその先をまとめておいたのだが、今年チェックしたら、かなり組み立てを変えないとわかりにくいことに気づいたので、年賀明けあたりから手を入れ始めた。するとまた新しい事実が見つかったりして、CDやYouTubeのリスト作りなどの準儀がすべて終わったのはなんと9日当日の朝7時だった。

17:00開場。楽屋はないので目と鼻の先にお客さんが。前回まではこれに若干戸惑いがあったが、もうじたばたしないことにした。
トークの席について台本をチェックしながら、ぼちぼちとお見えになられるお客さんたちに「いらっしゃーい」と声をかけたり、気軽に世間話を始めたり。やっとアゲインの空気感になじんできた。
本編はまだ始まっていないが、これで僕もお客さんもリラックス、物理的な距離だけでなく心の距離もぐっと近くなったような気がした。あくまで街場のトークイベントをめざしたい。

次第に客席が埋まっていく中、音楽プロデューサーの小松久さんなどよく知った方がいらっしゃると、まだ時間前なのに、「それじゃ、小松さんもいらっしゃったことだしそろそろ始めるか ...。」と腰をあげるとどっと受けた。
時間差で3回ぐらい「XXさんも来られたことだしそろそろ ...。」と、しつこく笑いをとっているうちに、ほんとに始まりの時間がきた。本編に入る前の簡単なまくらのあと、いよいよオープニング曲が流れる。すべてのドミノ倒しの始まりとなったビートルズの「抱きしめたい」、アメリカ初上陸の話題からスタートだ。





通常のライブならばセットリストをのっけるところだが、今日は台本の大枠をのっけておく。
時間をかけて作ったとはいえこの台本は単なるたたき台。どこかの国の政治家のようにただ棒読みしたりはしない。あくまでいいかげんな情報を流さないための目安であり進行台本。それをいかに血がかよったものにできるか、どこまでノってしゃべれるか、即興演奏のように、おもしろい話題がその場でどれだけ閃くのか、いい脱線ができるのか、そこんとこが勝負なのである。
しゃべることが大好きだから、好きなことを思いっきりしゃべる。その先に何が待っているのか、僕にもわからない。石川さんのご好意に甘えて、「やってみたからわかったよ」の精神でひたすら行けるとこまで行ってみよう。


   <<銀流フォークロック伝>> 第2回

M-01 : The Beatles / I Want To Hold Your Hand

01) ビートルズアメリカ上陸の大いなる余波

     エドサリバンショーを見た
      ブライアン・ウィルソンの言葉

     サイモンとガーファンクルが受けた余波

M-02 : Simon & Garfunkel /The Sounds Of Silence


02) ビートルズとディラン(詩の獲得)

     お互いの音楽を初めて聞いたのはいつ?

     ビートルズとディランが出会った日

     ジョンのかかったディラン病

  M-03 : The Beatles / 悲しみをぶっとばせ
M-04 : Bob Dylan / 時代は変わる


ここで休憩をはさみ恒例の目安箱。この日いただいた質問にその場で答えるコーナー。どれもおもしろくて、箸休めのコーナーなのについつい突っ込んでしまった。
作詞家としての自分をどう思うかとか、サムデイ・ツアーで佐野君のどの曲で僕が涙ぐんだのかとか、中身の濃い質問が集中。フォークロックに影響を受けた曲をというリクエストに答えて、sunflowerをワンコーラス歌った。この曲のイントロはタンブリング・マンに影響されている。
SOMEDAYの街のノイズについての質問に答えているうちにのってきて、歌が出るまでイントロがなぜあんなに長いのか、サビのsomedayが出てくるまでの道のりがなぜ長いのか、僕の推理をご披露した。
そして再び本編へ ... 。
              後編へつづく