いつもいつも「サンデー銀次」を読んでくださってありがとう。本編に入るその前に、コメントをくださった方へのお返事を。
今日のBGMは、エリオット・スミスのMiss Misery。映画「グッド・ウイル・ハンティング」で使われて有名になった。月曜からuncle-jamは三崎にレコーディングに行ってきた。前回ちらりと匂わせていた黒沢君とのマル秘プロジェクトとは、11月3日の夢街名曲堂のイベントで発売するCDを作ることだったのだ。詳しくは後でゆっくりふれるとして、作業の合間の二人の雑談で、二人ともエリオット・スミスが大好きだということがわかって、妙に盛り上がった。はっきり言って、今まで誰かとの会話の中で、エリオット・スミスの名前が出てきたことはなかった。黒沢君も同じことを言っていた。やはり二人は、見えない音楽的な水脈でつながっているような気がした。そんなわけで今日のBGMはエリオット・スミスだ。





■scene39さんへ

今の僕がいいと言っていただけて、素直にうれしいです。うーんと若いときは誰でも原石の輝きをもっているもの。年を重ねてもその輝きをなくさないように毎日を過ごしたいですね。心の中の「こども」の部分は知性を磨くことで守って行けると信じています。星柄のギターストラップに気づいてくれてありがとう。僕はサインをするとき、いつもファンのかたのお名前の横に星をひとつ書くことにしています。みなさんがひとつの星のようにいつも輝いていてほしいという想いをこめて。
サンデー銀次いつも読んでくださってありがとうございます。
これからもすてきな音楽や本、そしてすてきな人たちや場所などを紹介していきたいと思っています。


  ☆           ☆          ☆


たまたま中島らもさんの「砂をつかんで立ち上がれ」を読んでいたら、「おれは金を積まれても二十歳にもどるなんてまっぴらである。」という書き出しで、204ページから205ページにかけて、前回の「サンデー銀次」の最後に僕が書こうとしていたことを、とても的確な表現で書かれていた。
印象的だったのは、おおくの天才、偉人の中に幼児性と老成した知性が共存しているということ。
「自分の中の『こども』を守るのが、中年の力と智恵なのではないだろうか。」と書かれていた。まったくそのとおりだと思う。心の中に輝くものがあふれてくるような、この2ページほどを座右の銘とするだけのためにこの本を持っていてもいい。そう断言できるほどすばらしい2ページだ。
もともとそういう目的で読んでいなかったのに、自分がこの頃思っていることについての記述に偶然出会う。単なる偶然なのか、それとも求めているとそれを呼びよせるのか?。


砂をつかんで立ち上がれ (集英社文庫)/中島 らも

¥500
Amazon.co.jp


すでに黒沢君のブログをごらんになった方はご存知のように、uncle-jam初の音源ができあがった。
曲のタイトルは、「Dream Again~ラジオからP.S.I Love You~」。
僕たちuncle-jamが出演するラジオ番組「ようこそ夢街名曲堂へ!」の500回記念の公開録音イベントで販売しようと急遽思いついて作ったのである。この番組には僕も何度か出演させていただいており、はたまた番組のテーマ曲「welcome to dreamsville」は黒沢君の作品だったりで、とても二人に縁の深いプログラム。500回を迎えると聞いて、お世話になった番組スタッフ、長門芳郎さんと土橋一夫さん、そしてリスナーのみなさんに感謝の意味で、uncle-jamから曲をプレゼントしようと思い立った。
じっくりお金と時間をかけて作れはしなかったが、僕たちのポップ・ロックへの、そして僕たちをポップ・ロックに導いてくれたラジオに対するLOVEをたっぷりこめて作った。他によけいなものは何も混ぜていない。
まるで高校生のデモテープのような初々しい仕上がり。手作り感のある作品ができたと思う。くわしくは黒沢君のブログ「tomorrow today」、October 30, 2010「uncle-jam初音源出来ました」の回で見ていただければ幸いである。

http://ameblo.jp/hideki-kurosawa/

11月3日の「ようこそ夢街名曲堂へ!」のスペシャル公開録音会場のみの販売。なので渋谷・UPLINK FACTORYでのライブにどうか足を運んでいただき、ぜひ記念にゲットしてください。


放送500回記念「ようこそ夢街名曲堂へ!」
スペシャル公開録音2010

date: 2010.11.3(sun)
place: 渋谷・UPLINK FACTOR

司会・進行:長門芳郎 / 土橋一夫
guest: uncle-jam / 田中拡邦(MAMALAID RAG) / 甲斐名都
open: 17:00 / start: 17:30
(~21:30 終演予定)
Charge: 前売: ¥4,000- / 当日: ¥4,500- *1Drink別途

info: 渋谷・UPLINK FACTORY(03-6825-5502)


10月29日、僕と黒沢君のuncle-jam、ママレイド・ラグの田中拡邦君、甲斐名都さんで、11/3ライブの全体リハ。
なんとなく最初はそれぞれになじめない感じが漂って、どことなく踏み込めない空気のセッションになっていた。
こりゃどうもいかんなと思っていたが、僕が中心になってコーラス・パートの割り振りをしていたときだ。甲斐名都さんに「僕の1オクターブ上はどう?」と提案したところ、途中まではいい感じで歌えたが、最後の上がるところで高過ぎて苦しそうになった。自分で言うのもなんだが絶妙のタイミングで、「それは、ちょっと高過ぎ晋作だよねー」と得意技のオバカなダジャレが自然に僕の口から飛び出し、そこで一同破顔一笑。そこからなんとなくスムーズになった気がした。リハ終わり頃には、初めて合わせたとは思えないほど息のあったチームになっていた。これは本番が楽しみだ。
思い出すのはザ・コレクターズの「マイティー・ブロウ」のプロデュースの時。調子に乗ってダジャレをこれでもかと連発していたら、加藤君に何枚もイエロー・カードを出され、レッド・カードの退場寸前。そのときの反省から、このリハでは「高過ぎ晋作」だけにとどめておいた。

スタジオから近かったので、三軒茶屋のツタヤで「僕はビートルズ」の第1巻をやっとゲットした。すでに第2巻は購入済みだったから、大急ぎで家に帰って読み出したら、すぐさま、一気に2冊を読み切ってしまった。第2巻の最後が、やはりそう来るか、やっとそう来たか、というなんともこの先盛り上がって行きそうな、気になる終わり方。実にうまいところで終わっている。第3巻の発売は来年1月の予定。待ちきれない。


僕はビートルズ(2) (モーニングKC)/かわぐち かいじ

¥560
Amazon.co.jp


もちろん、僕も中学生のときビートルズになりたくてしょうがなかった。
2010年7月4日号の「週刊銀次」にも書いているように、中学2年の時、ほうきをギター代わりに、大きな音でビートルズをかけながら歌っていると、自分はビートルズの一員になったような気がしたものだ。夢は世界を翔ていた。やがてその妄想は別の形で果てしなく頭の中に広がっていった。
さすがにビートルズになれるはずがない。だから今度は、ビートルズみたいなバンドで世界に羽ばたくことを夢見た。ろくにギターも弾けないくせに、同級生と実体のない妄想のバンドを組んだ。その名も「M & The Fingers」。Mはエルビスを歌わせるとゴキゲンなリード・ヴォーカルの宮脇君の頭文字。初めてのビートルズ体験、「Please Mr. Postman / Money」のシングル盤を貸してくれた友達だ。
画用紙で僕らのレコードのジャケットを作った。デビュー・シングルのタイトルは「涙を抱きしめよう Get Hold Of Yourself」、その曲は全英全米チャートでNO.1に輝いたことになっている。(笑)「ついに世界へ飛び立った日本製のリバプール・サウンドの登場です」と画用紙のライナーノーツに書いた。意味がわからない(笑)もちろん曲はタイトルだけで、まったくできていない。(笑)

その時まだギターが弾けなかった僕の頭の中に、タイトルの♪Get Hold Of Yourselfがメロディーとして聞こえていた。それはなんとなくAll My Lovingみたいなメロで、僕の深いところでずっと聞こえていたみたいだ。黒沢君に話したらおもしろがってくれ、いっしょにあっというまに全部作ってしまった!
ビートルズにはなれなかったし、全英全米チャートNO.1も実現しなかったが、構想(妄想?)から40年以上たって「Get Hold Of Yourself ~涙を抱きしめよう」が完成したことは、また別の奇蹟的なできごとなのかもしれない。
追々、uncle-jamのリリースのどこかのタイミングで形にしたいと思っている。

三浦半島最南端の三崎もすっかり夜が寒くなった。レコーディングも無事終わった27日の夜、藤沢さんのお店「ミサキプレッソ」で第2回「MP水曜ロードショウ」が開かれた。DVDをお店の壁に映して見るシンプルな映画会。僕たちuncle-jamもお店の常連さんたちに混じって参加することにした。この日の映画はU先生プレゼンツの「ライフ・イズ・ビューティフル」。昔見たことがあるが、久々に見てもやっぱりいい映画だ。愛と感動と不条理を同時に感じれるエンディングが甘辛い。そのエンディングで、感激屋のU先生のしゃくり上げる涙声が聞こえてきたら、思わずもらい泣きしそうになって、僕はトイレに逃げ込んだ。それからみんなで居酒屋「音由」へ。地元の人たちとの会話は楽しい。外の寒さが嘘のように感じられた温かい三崎の夜だった。