はやくも10月第3週、振り返ると、いろいろと準備に追われた一週間だった。
22、23日は青木ともこさんのライブ用のリハ、そして土曜日は黒沢君とマル秘プロジェクトの作戦会議&若干の作戦遂行。なんだかんだと、今号の「サンデー銀次」も更新が、日曜の朝方になってしまった。

11月1日の下北沢ラ・カーニャは、青木さんにとってひさしぶりのライブ。
高橋結子こと結ちゃんにも声をかけたが、残念ながら別の仕事が入っていた。今回はクラウディ・ベイではなく青木さんのソロの面を打ち出した内容だが、ウッドベースで戸田吉則君、不肖銀次はギターとコーラスで青木さんをバックアップさせていただく。茨木のり子さんの「海を近くに」など、大人の女性の気持ちをまっすぐにに歌う青木ともこさんのひさびさのライブ、ぜひ見に来てくださいね。不肖銀次が茨木さんの詞に曲をつけた「六月」も歌ってくれます。

 
  11月 1日(月)  「青木ともこソロライブ」
                            
   青木ともこ (Vo & Pf & GTR)

   伊藤銀次 (ElGTR & AcGTR & Vo)  戸田義則 (Wood Bass)

open:19:00  Start:19:30
予約・2500円+1drink order
当日・2500円+1drink order
ラ・カーニャ  東京都世田谷区北沢2-1-9 第二熊崎ビルB-1
Tel (03)3410-0505
                                                      地図 :  http://www1.ttcn.ne.jp/LaCana/lacanaphoto.html

   ライブ予約について: 下記アドレスに、タイトルを「ライブ予約 ○月○日分」とし、
     ご予約人数、お名前、ご連絡先住所、電話番号をご記入の上、ご送信下さい。

受付E-mail:lacana1980@mac.com



昔、うじきつよし君と田中律子さんと僕の三人で、「BSロック大全集」という番組をやらせていただいていたことがあった。YouTubeに上がっているサマータイム・ブルースの豪華セッションは、ある回のヒトコマである。セッションはその回だけではなく、実はまた別の組み合わせのスーパー・セッションもあったのである。
ドラムス&ヴォーカルにつのだ☆ひろさん、ベースが吉田建氏、ギターが竹田和夫さん&鮎川誠さん&銀次。そして紅一点のヴォーカルにシナロケのシーナさんという、なんともそうそうたるメンツで、サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ、胸いっぱいの愛を、ユー・リアリー・ガット・ミ-、ワイルドで行こう、スモーク・オン・ザ・ウォーターなどの「ロック名曲メドレー」を演奏した。

曲の構成ぎめや、ソロや歌のフィーチャリングのふりわけなどを含めた入念なリハーサルが終わると、いよいよセッションの開始となった。なにせ長いメドレー、誰かが途中で間違えたら、また頭からやりなおし。映像もいっしょに撮っているので、パンチインなど部分直しができない。
僕はその頃、プロデュースの仕事にあけくれていたので、バリバリ現役の、しかも日本を代表するトップ・クラスの他のミュージシャンの方達に迷惑がかかってはと、そればっかりが頭にかけめぐっていた。

しかしさすがのメンツ、僕もラッキーにも足をひっぱることもなく、確か2テイク目か3テイク目にすばらしいOKテイクが録れたように記憶している。

おもしろかったのはそのOKテイク演奏後の音楽部分のチェックのとき。スピーカーから次々と飛び出してくる、かっこいいフレーズやグルーブにみんな興奮気味。プレイバックが終わると同時に、誰言うともなく

 「俺たちすごいんじゃない?」

みんな笑顔でうなずく中、ただひとり吉田建氏だけがこういったのだ。

「俺たちがすごいっていうよりさ、やっぱり曲がすごいんじゃないの? これを作った奴らがすごいんであって、やっぱり世界で最初にこういうことをやったってことがすごいんじゃないの?」(なぜかちょっと小路さん風になってしまった。)

まったくそのとおりだった。そのままタイムマシーンで1960年代に行って、これを先にやらないかぎり、僕らがほんとうのロックのすごさを身にまとうことはない。でもこれはいわゆるパラドックス。スピルバーグの映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のように、SFという「おとぎばなし」の中だけで可能なのことなことなのだ。

かわぐちかいじさんが、おもしろい連載を週刊モーニングで始めたことを教えてくれたのは、誰あろう黒沢秀樹君だった。まだuncle-jamで曲作りを始めた頃だったかな。
原作は藤井哲夫さんで、タイトルがなんと「僕はビートルズ」。かわぐちかいじさんには珍しい音楽物、しかも王道中の王道、ビートルズがらみのお話だ。これがどうも「もしビートルズより前の時間にタイムスリップしたら...」という、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」的なお話らしい。
かわぐちかいじさんというと、「沈黙の艦隊」や「ジパング」など軍事物のイメージが強くて、ちょっと意外な感じがしたが、黒沢君に連載第1回を見せてもらったところ、なんかおもしろそうだ。週刊モーニングの編集部の方たちには申し訳ないが、ひとつ単行本になるまで待つぞと決めた。
僕はせっかちだから、連載物を毎週買ってこまめに読むなんてことはしない。次の号が待てないのと、一気呵成に読み通してしまいたいからだ。必ず単行本化するまでしんぼう強く待つのである。

70年代中頃笹塚に、PAエンジニアのN君と住んでいた頃、ある日お互いにヒマで退屈でしょうがなかったことがあった。そこでこんなときは、覚悟しないとめったに読めない、何巻もある長編漫画を買ってきて、この際だから読もうということになった。何がこの際なんだかよくわからないが、車を飛ばして渋谷の旭屋書店(現在のブックファースト)まで出かけた。
いろいろ二人で吟味のすえ、買ってきたのが白土三平の「カムイ伝」全21巻。どちらが先に読み始めるかじゃんけんで決めて、読み終わったらもうひとりに手渡すという具合に、部屋でごろごろねそべりながら、なんとその日の深夜というか、翌日の明け方近くまでに、一気に読み切ってしまった。これが、ぼくにとって「マンガ一気読み」の初体験である。それ以降、決していつもいつもマンガを積極的に読んでいるほうではないけれど、周期的に長編マンガにハマるタイミングに出会う。

今までだと、浦沢直樹さんの「Monster」(全18巻)、井上雄彦さんの「バガボンド」(まだ連載中だそうだが、残念ながら途中で読まなくなってしまった)など。最後にハマったのは弘兼憲史さんの「黄昏流星群」だ。浦沢さんの「20世紀少年」とか絶対おもしろいはずだが、最近はなんとなくマンガに近づかないようにしていた。uncle-jamの立ち上げやら、この半年くらい忙しくしていて、すっかり「僕はビートルズ」のことも忘れてしまっていた。

10月21日の夜のことだ。今度11月に国立でいっしょにライブをやることになった、成瀬英樹君のツイッターで『今世紀はじめてコミックを買った。かわぐちかいじ、「僕はビートルズ」メッチャおもしろ~い。』とつぶやいていたのを見て思い出した。
そこで青木さんのリハの帰りに買おうと、下北沢の3軒の本屋で探したが、なんと第2巻しか売ってない。タイミングが悪かったのか、第1巻が品切れらしい。平積みになった2巻の下のほうに、ひょっとして一冊くらい1巻がまぎれこんでないかとチェックしたりしたがやっぱりなかった。
しょうがないから、しかたなく第2巻を買ったけれど、まだページもめくってない。先に読むわけにはいかないから、これがけっこう蛇の生殺しみたいでつらい。明日渋谷とかの大きな本屋で探してみることにした。でもかわぐちさんの書いているマンガだから、ひょっとしてこの先何十巻にもなったらどうしよう ... 。ちなみに「沈黙の艦隊」は全32巻、「ジパング」は全43巻である。うーん、まあ、おもしろくハマっていけるのなら、むしろ長く楽しめていいかな。それよりも早く第1巻を手にいれなきゃ ... 。


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ときどき、若いっていいなあ、私ももう一度青春に戻りたい...なんて言う人に出会う。僕ははたしてそうかなあと思う。
どちらかというと、あの未熟で世間知らずで右も左もわからない青二才の自分にもう一度戻るなんて、考えただけで勘弁である。虫のいいことを言わせてもらえるなら、いまのこの頭の中身、経験値のまま、体だけ若くなれたらと思うことはある。それができたら最高だけど、でもいつも、「今」の自分が好きでいられるほうがほんとうはもっと最高なんじゃないだろうか、なんて思ってしまう日曜の明け方。